日銀利上げ、15年7ヶ月ぶり 国債買い入れも減額。ドル円は一時150円割れ、株も大きく下落。現状確認&チャート分析

2024年7月31日、日銀が追加の利上げを決定しました。
3月にマイナス金利を解除し、リーマンショック前の水準となる0.25%まで政策金利を引き上げます。合わせて、日銀が買い入れる国債も減額。これまで続いてきた異次元ド級の金融緩和を引き締める方向施策に転換することに舵を切りました。

また、米国では7月30-31日にFOMCが開催。FRBのパウエル機長は、政策金利を約20年ぶり高水準で据え置くことを発表するも、「早ければ次回9月の会合で政策金利の引き下げが選択肢となり得る」と述べました。

これにより、今後の日米金利差の縮小の方向性が明確に。結果、金融市場が揺れています。

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日銀、利上げ、0.25%に。心理的節目150円を下回る

日銀は、7月31日の会合で、従来の0-0.1%程度から、0.2%に政策金利を引き上げることを決めました。
7月31日発表前の朝から、メディアなどでのリークがあり、発表前からドル円は円高方向に。発表後は、チャート分析で重要な200日移動平均線にタッチし、一旦とどまりましたが、夕刻にかけて、200日線(上図の赤い太線)を割れ、8月1日には、一時、心理的節目である150円をも割り込んでいます。

国債買い入れも減額、海外に販売へ

日銀は、0.25%の利上げと併せて、国債買い入れも減額することも発表しました。

・月の購入量:6兆円⇒3兆円に減額
・四半期ごとに4000億円ずつ減額
・約1.5年かけて半減

日銀、日本国債の47.4%を保有

上図の通り、日本国債の実に47.4%を日銀が保有しています。

日銀に替わって、日本国債を買う人はいるのか?

日銀が購入量を減らせば、銀行・生保などの国内勢だけでこれらを吸収して購入することは困難になります。この対策として、複数の証券会社が海外投資家に日本国債の購入をアピールしていくそうです。

しかし、日本および、日本国債は以下のような問題を抱えます。

・他国に比べて国債の金利が低い。
・日本の格付けが低く、商品として魅力的でない

世界がコロナ禍のお金ジャブジャブから金融正常化(引き締め)に舵取りをした後も、断固として金融緩和を推し進めざるを得なかった日本&日銀の金融政策の実態を知っている世界の国々が、果たして日本国債を買ってくれるのか?

ちょっと疑問です。

FOMC、FRBの姿勢にも変化

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが発表されました。据え置きは8会合連続です。

パウエル議長は記者会見で「9月の利下げ開始もありうる」と明言。物価抑制だけでなく景気にも配慮した政策運営に軸足を移す考えを示しました。

声明文も前回会合までとは表現に変化が見られ、FRBの姿勢の変化が伺えます。

・2%の物価目標向けて:「緩やかに前進した」⇒「緩やかに」という表現が削除
・物価上昇率:「依然として高い」⇒いくぶんか高い」
・雇用の勢い:「強い」⇒「緩やかになった」
・失業率の上昇:⇒経済の過熱が収まったことを強調

また、「雇用と物価のリスクのバランスは改善を続ける」とし、物価抑制を重視した現行の金融引き締めを利下げによって緩める時期が近いことを示唆しています。

ドル円、日経平均はどう動いたか

ドル円、日経平均はどう動いたか

ドル円

ドル円の日足の動きについては、先に触れましたが、もう少し長いチャートについても確認しておきます。

ドル円:週足

現時点では、下図週足を見ると、2023年1月からのトレンドラインがレジスタンスラインとして機能しています。

ドル円:月足

さらに長い時間軸でも確認をしておきます。

怒涛の円安が始まったのは2021年明けから、この時、こんな短期で162円まで円安が進むとは塑像だにしませんでした。

さて、月足を見ると、次のレジスタンスラインは、フィボナッチ23.6%水準の、148円あたりとなりそうです。

日経平均

上図は日足チャートです。日経平均も大きく下落。一時38,000円を割れ、今週の上げも打ち消す動きとなりました。結局のところ、7月からの売りが継続しています。

今晩の米国株がどうなるか、ここで、株価下落が止まるのか、注視が必要です。

月足チャートも掲載しておきます。

2024年新NISAが始まり、はじめて株式投資・積立投資を始めた人も多くいますが、大きな試練となっています。

以下の記事にも書きましたが、ホント、日本は、いろんなことに対して、タイミングが悪いなぁ…と考える次第です。