投資の世界では、相場の動きを予測するためのさまざまな手法が存在します。
投資家の多くは、チャート分析の際、値幅、トレンドライン、インジケーターなど「値ごろ」に対する意識は強くても、「日柄」はおろそかになりがちです。
株価や為替などの金融市場には、価格が天井・底が適正株価に落ち着くまでの日数に「一定の周期性」が見られることがあります。これを活かすのが「日柄分析」です。
この記事では、日柄分析の重要性、実際の投資での利用方法までを紹介します。日柄分析をマスターすることで、相場の転換点を見抜き、より精度の高い投資判断が可能になります。
さあ、一緒に日柄分析の魅力と実践方法を学び、相場の未来を読み解いてみましょう。
目次
日柄分析の重要性
日柄は、テクニカル分析において重要な要素です。日柄分析には以下のようなメリットがあります。
ダマシを回避しやすくなる
日柄を考慮することで、価格がまだ適切に調整されていない可能性を確認できます。たとえば、底を示唆するチャートパターンが出ていても、日柄が浅い場合はまだ早い可能性があります。こうしたダマシを回避するために、日柄を意識することが大切です。
逆に、日柄が深くなっている場合は、トレンドの持続性を考慮して売買判断を行うことができます。
相場の方向性を冷静に確認
日柄を分析することで、相場の方向性を冷静に確認できます。例えば、日柄が短い段階でのブレイクアウトはダマシの可能性が高いです。売買のタイミングを冷静に考える視点を与えてくれます。
逆に、日柄が長い場合は、強いトレンドが出ている可能性があるかもしれません。このように、「現在の相場では何を重視すべきか」を考える手立てとなります。
日柄の数え方、日柄分析手法
日柄分析の基本は、ローソク足の本数の確認です。例えば、「底から天井までのローソク足」の本数を数える、その幅を基本に相場のサイクルを予測します。
例えば、日足チャートを左から見て、直近、数回分の「天井-底」「底-天井」がおおよそ日足30本だったら、次は先の天井から30日後付近に底があるかもしれないと、予想します。
日柄分析の実践例(一目均衡表)
上図は、2024年5月30日時点の日経平均の日足チャートです。
この図では、日柄に関して、以下のような事象が見えます。
・4月19日を時期に、日柄のサイクルが観測できる
・一目均衡表の雲のねじれを控える(雲が薄い時間帯)
この例では、
日柄サイクル、および、雲のねじれがまもなくであることから、相場が下落するかもしれない と事前に予測ができたわけです。(詳細な見方は、後述)
日柄分析の手法はいろいろある
日柄分析には、以下の通り、様々な分析法があります。
・フィボナッチ日柄
・エリオット波動理論の日柄
・ギャン理論の日柄
ちなみに私が日常的に使っているのは一目均衡表です。
以下では、一目均衡表について詳しく、その他の日柄分析については簡潔に紹介します。
一目均衡表の使い方
一目均衡表の時間論における日柄分析は、相場の重要な転換点を予測するための強力なツールです。基本数値を用いた日柄の計算により、相場の転換点や重要なタイミングを見極めることが可能になります。
一目均衡表の基本的な日柄:基本数値
一目均衡表では、特定の日数が重要視されます。これらの日数は「基本数値」と呼ばれ、以下のような数値がよく使用されます。
9日、17日、26日、33日、42日、65日、76日、129日、172日、200日、257日
これらの基本数値は、相場の高値や安値からの日数として使用され、相場の転換点を見つけるのに役立ちます。
一目均衡表の基本的な日柄:変化日
変化日は、相場のトレンドが変わる可能性がある日を示します。基本数値に基づいて、相場の高値や安値から数えた日が変化日とされます。例えば、26日目や33日目などです。
時間論の具体的な使用方法
以下のような変化点から、9日、17日、26日など基本数値分を数えます
・高値から基本数値を数える
・安値から基本数値を数える
・重要な価格ポイントから数える
9日、17日、26日など複数の基本数値が重なる日があれば、その日は特に重要な変化日となる可能性が高いと見なします。
雲のねじれの重要性
一目均衡表のチャート分析で、一目でわかるのは「雲のねじれ」です。
「雲のねじれ」は、先行スパン1と先行スパン2が交差することで雲が反転し、その形状がねじれる現象です。このねじれは、市場の力関係が変化する可能性が高いタイミングを示します。
なお、転換線、基準線などの一目均衡表の基本は以下の記事を参照下さい。
雲のねじれは以下の理由で重要視されます。
トレンド転換のシグナル
雲のねじれが発生すると、相場のトレンドが変わる可能性が高まります。
雲のねじれは、極めて雲の厚みが薄い時間帯です。雲の厚みは、値が止まるサポート力、レジスタンス力が弱まる時間帯であるとも言い換えられます。
サポートとレジスタンスの変化
雲はサポートゾーンまたはレジスタンスゾーンとして機能します。ねじれが発生すると、これらのゾーンも変わる可能性があります。
雲のねじれの実際の使い方
雲のねじれをチャート分析に応用する方法は以下の通りです:
トレンドの確認
雲がねじれているかどうかを確認します。ねじれが発生する前後の価格動向に注意を払い、トレンドの変化を予測します。
ねじれ位置では、雲のサポート力・レジスタンス力が弱まる時間帯であることを、意識しましょう。
ねじれと価格の位置関係
価格が雲の上にある場合、上昇トレンドが続く可能性が高いです。逆に、価格が雲の下にある場合は下落トレンドが続く可能性が高いです。
ねじれが発生する時点での価格が雲の中にある場合、トレンドの方向が不明確である可能性があります。この場合、他のテクニカル指標やサポート・レジスタンスラインなども参考にしましょう。
トレードのエントリーポイントとエグジットポイント
雲のねじれが発生した直後にエントリーすることが一般的です。これは、トレンドが反転する可能性が高いためです。
エグジットポイントとしては、価格が再び雲を抜けるタイミングや、雲のねじれが発生する前のトレンドが再度確認できた時が考えられます。
その他の日柄分析と勉強のためのおすすめ本
以下では、その他の日柄分析の簡単な説明、及び、Amazonでもコメントの多いおすすめ本です。
フィボナッチ日柄
フィボナッチ数列に基づいて計算される日柄は、相場の転換点を予測するために使用されます。フィボナッチ数列は0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, … と続きます。これらの数値は、相場の高値や安値からの日数を計算するのに使われます。重要な高値または安値からの以下の日数などが注目されます。
5日目、8日目、13日目、21日目、34日目、55日目、89日目
エリオット波動理論の日柄
例えば、3波目や5波目の完了時期を予測するために、前の波動の長さや期間を基に日柄を計算します。
ギャン理論の日柄
ギャン理論は、特定の時間周期を用いて相場の転換点を予測します。ギャンは、9, 13, 27などの周期を重要視しました。また、90日、180日、360日といった大きな周期も重要視されます。
時間分析
特定の日数間隔で相場の転換点を見つけるための方法もあります。
例)
20日、40日、60日といった固定日数
月末や月初の特定の日付(例:月初の1日、15日など)
最後に
日柄は、相場の転換点を予測するための判断材料となります。ただし、単独で使用するのではなく、他のテクニカル分析ツールやファンダメンタルズ分析と組み合わせることで、より精度の高い予測が可能となります。
一目均衡表の雲のねじれが示唆する転換点などをを見逃さず、トレンドの変化に対応する指標としてお役立てください。