米国大統領選挙と株価のアノマリー。トランプ氏当選で株価への影響は?民主党・共和党 現在の状況【2024年】

4年ごとに開催される「米国大統領選挙」。
2024年は米国大統領選挙の年です。米大統領選挙の投票日は11月4日です。

民主党、共和党の大統領候補者は、それぞれ全国大会で正式決定(民主党:8月、共和党:7月)。現在は、民主党がハリス大統領、共和党がトランプ氏での争いが繰り広げられています。

米国は世界でNo.1の国。そのため、米国大統領選挙の結果は、世界に大きな影響を与えます。特に経済政策は、世界の経済・株価に大きな影響を与えるため、見逃すことはできません。

ただ、個々の政策とは別に、米国株式市場には「大統領選挙サイクル」と呼ばれる法則=アノマリー(理論的には説明のつかない経験則)があります。

今回は、米国大統領選挙の仕組み、米国大統領選挙と株価の関係を解説したうえで、2024年の大統領選挙の展望についても確認してみます。

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【基礎を知る】米国大統領選挙

【基礎を知る】米国大統領選挙

まずは、米大統領選挙とはどういうものなのか、確認します。

大統領選結果で米国の向こう4年間の政策の方向性が決まる

米大統領選挙の結果は、政治・経済や株価に大きな影響を与える大きなイベントです。

共和党政権になるのか、民主党政権になるかで、米国の向こう4年間の政策の方向性が決まってきます。

通商政策では、貿易に大きな影響を及ぼします。保護主義的な通商政策(米国第一主義(アメリカ・ファースト)などは、輸出・輸入に大きな影響を与えます。

経済政策は、株価・金利・為替に大きな影響を与えます。
減税による景気刺激策、財政出動、ドル対策(強いドルを目指すか)、その他、FRBの政策にも影響がでると考えられます。

米大統領選挙は4年に1回

米大統領選挙は4年に1回行われます。

大統領選挙の任期は、アメリカ合衆国憲法に基づき4年。これまでの4年間の大統領の政策を評価し、選び直し・続投することで、国民に政治的な変化・継続性を判断させることを目的にしています。

基本、病気・暗殺などを除き、ほとんどの大統領は、4年の任期を全うするので、極めて大事な判断の場となります。

ちなみに40代以降は次のようになっています。

大統領政党期間年数
40代ロナルド・レーガン共和党1981年-1989年8年
41代ジョージ・ブッシュ(父)共和党1989年-1993年4年
42代ビル・クリントン民主党1993年-2001年8年
43代ジョージ・ブッシュ(子)共和党2001年-2009年8年
44代バラク・オバマ民主党2009年-2017年8年
45代ドナルド・トランプ 共和党2017年-2021年4年
46代ジョー・バイデン民主党2021年-現在現職

米国大統領の任期は4年。2年目に「中間選挙」、4年目には大統領選となりますが、これまで過去の大統領はほとんど2期目も再選してきています。

現在は、以下の二人が闘っています。
ドナルド・トランプ(78才):共和党
ジョー・バイデン(81才) :民主党

この年で、し烈な大統領選挙を戦うって、凄いことだと思います。

米国大統領選挙の流れ

大統領選挙の流れは以下のようになっています。

米国大統領選挙の流れ

❶年明けから全米各州で~6月まで「予備選挙」もしくは「党員大会」が開催
❷7〜8月に「全国党大会」で各党1名の代表が決定
❸11月に「一般投票」 ※各党1名の一騎打ち戦。TV討論など白熱
❹大統領決定

選挙は、50州毎に行われ、全体で538ポイントを奪い合う形で行われます。人口・経済などによって、州ごとに持っているポイントが異なります。
開票結果は、以下のように、赤:共和党青:民主党で色付けされます。州によって持つポイントが違うので、選挙は最後まで白熱します。


例)2016年米国大統領選挙(赤:トランプ青:クリントン

大統領選挙のスケジュール

両者の政策は全く異なります。政策が違えば、米政府のお金の使い方も変わります。金融市場にも影響を与えることになるでしょう。

米大統領選挙:スケジュール

8月19日~22日 民主党大会(党の候補者が決定)
9月10日(火) 大統領候補者テレビ討論会(トランプVSハリスは第1回)
9月18日(水) トランプ氏、有罪となった口止め料裁判、量刑の審理
11月5日(火) 大統領選、投開票日
2025年1月20日 大統領就任式

二大政党制/共和党と民主党

二大政党制/共和党と民主党

二大政党制の母体や特徴は以下のようになります。

共和党

・小さな政府派
・支持母体は白人
・現在は移民に仕事を奪われた肉体労働白人が増加
・候補:トランプ氏

民主党

・大きな政府(社会福祉充実)派
・支持母体は、白人、黒人、ヒスパニック、アジア系と実に様々
 IT技術者(お金持ち)なども増加
・候補:バイデン現大統領

「大統領選挙と株価」アノマリー

「大統領選挙と株価」アノマリー

さて、ここまでの米国大統領選挙の仕組みをふまえた上で、大統領選挙と株価についてみていきましょう。

アノマリーとは

米国株式市場には「大統領選挙サイクル」と呼ばれる法則=アノマリーがあると言われます。

アノマリーとは、論理的には説明できないけれど、経験的に観測できるマーケットの規則性のことです。簡単に言えば、「経験則上は当たりやすいよ」という確率論です。

以下では、過去の米大統領選挙と株価の関係から、どのような傾向があるかを見ていきます。

歴代大統領と米ダウ株価の騰落状況

以下は、歴代大統領の出身政党と在任期間中の米ダウ株価の動きをまとめたグラフです。
1期4年(1年目の選挙翌年、2年目の中間選挙、3年目の選挙前年、4年目の大統領選挙)の各年間、および任期4年間における株価騰落率を計算しています。

※米ダウ30が開始された1896年以降の歴代大統領の集計
 マッキンリー大統領Ⅰ期(1897年1月)からオバマ大統領Ⅰ期(2012年12月)まで


上記結果をもとに、集計した結果が以下です。

・全31回のうち、共和党大統領は17回、民主党大統領は14回
・各年の上昇回数/下落回数を集計したのが以下の表

01年目2年目3年目4年目任期中
上昇回数1718252222
下落回数1413698

結果考察:アノマリーは?

上記の結果、以下のことがわかります。

米大統領選挙と相場の関係:まとめ

  • 出身政党に関わらず、大統領就任3年目はかなり高い確率で株価が上昇する傾向がある
  • 4年間の株価上昇確率は共和党より民主党大統領の方がやや高い
  • 大統領の出身政党が変わると、選挙の年と翌年で株価騰落率の方向性が変わりやすい

大統領任期3年目は株価が上昇しやすい理由

確かに、任期3年目は31回中25回の上昇。その確率は80.6%と高くなっています。

この理由としては、翌年の大統領選において、国民の支持を得るための景気対策(株価に好影響)を打ち出されることが予想されるため、株価が上昇するとされています。

大統領の出身政党が変わると株価の方向性が変わりやすい理由

また、選挙の年と翌年(4年目と1年目)で株価騰落率の方向性が変わりやすい傾向も見て取れます。

この理由としては、下落(上昇)局面にある株価が、政策変更への期待(警戒)を織り込むことなどが理由として考えられます。

2024年の米大統領選挙の現状

2024年の米大統領選挙の現状

米大統領選挙は、只今、選挙キャンペーンが本格しています。

【共和党】銃撃でトランプ支持過熱。投資環境には追い風

その最中、2024年7月13日、トランプ氏は、中西部ミシガン州で銃撃されました。この時の姿が印象的で、これを機に、トランプ氏再選の声が高まっています。共和党は事件後、熱狂的なトランプとなりました。

トランプ氏の政策は基本的には「経済優先」です。そのため、投資環境的にはトランプ氏が追い風。特に、トランプ氏はビットコインの支持を表明しているので、銃撃の報道と共に、ビットコイン価格も上昇しました。

ただし、通商政策については「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」です。保護主義的な通商政策で輸出・輸入企業の業績に影響を与える可能性があります。また、米中対策も重要です。政策次第で、日中貿易にも影響を影響が及ぶことになります。

通商   :基本的に、トランプ氏はアメリカ第一主義。過去には在任時にTPPから離脱しています。
対中国政策:トランプ氏の経済制裁がどうなるか?

いずれにせよ、トランプ氏が当選すると、相場のボラティリティ(上下動)が上がることになるでしょう。VIX指数など、ボラティリティも注意しておきましょう。

【民主党】バイデン氏 撤退表明からのハリス氏猛追

アメリカのバイデン大統領は21日午後に声明を出し、秋の大統領選挙での再選を断念。その後、ハリス氏が大統領選に名乗りを上げ、その後、猛追中。支持率は逆転しています。

女性であること、世代が若返ること、黒人でアジア系であることなど、ハリス氏の「属性」がトランプ氏に対抗する上で有利に働いています。

今後

9月10日、共和党のトランプ前大統領と民主党のハリス副大統領が、11月の米大統領選に向けた「テレビ討論会」に臨む見通しです。

両氏が初めて直接対決するテレビ討論会は、大統領選に大きな影響を及ぼすとみられ、軍配がどちらに上がるかが注目されます。

世界政治・経済への知識を深めよう

投資をするなら、世界経済に大きな影響を与える米国について理解を深めることが必須です。以下、関連書籍を紹介しておきます。

また、株価・金利のサイクルを学ぶことも大事です。以下、参考になる本を紹介します。