バルサラの破産確率 に潜む落とし穴。罠に落ちずに投資負け組に染みついた悪癖を改善するには

投資の世界から撤退をせざるを得なくなる典型的なパターンは「コツコツドカン」。

人は本能に従ってトレードすると、「利益は少しでも確定したい。損は少しでであっても許容できない」という本能が働きます。そのため、「損大利小」となるのは避けられません。

含み損が拡大すれば、一旦冷静になって一旦仕切る(損を確定する)どころか、損を取り返したいという気持ちが強くなり一発勝負に出たり、どうにでもなれといった自暴自棄が加わって、さらに損失を拡大し、投資の世界から撤退せざるを得なります。だからこそ、「資産管理ルール」は必須です。

今回は、破産を避けるためにも知ってくべき「バルサラの破産確率」を解説。さらに、この破産確率を用いて自身のトレードスタイルを見直す際に間違いやすい「落とし穴」について解説します。

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バルサラの破産確率とは

バルサラの破産確率

バルサラの破産確率は、数学者であるナウザー・バルサラが考え出した理論で、トレード方法を繰り返していった時に、最終的に破産してしまう確率を表したものです。

『勝率』『リスクリワード・レシオ』『一回のトレードでリスクにさらす資産の割合』の3つの条件から『破産確率』を求めることができるのですが計算方法は正直複雑。しかし、その『破産確率』を見れば、そのトレードが安全なのか危険であるのか一目瞭然になります。

バルサラの破産確率を理解する上で重要な「3つの数字」

FX関連本を読んでいると、「破産を避けるために一度の取引で損をしてもいい許容範囲は2%までにしましょう」という記述をよく目にします。これは、資金が100万円なら、1回の損失は2万円までにしましょう(損切りを徹底しましょう)というものですが、バルサラの破産確率がベースとなっています。

バルサラの破産確率は、数式で理解するのは難しいですが、3つの重要な数字の意味を理解の上、バルサラの破産確率表を見れば、合点がいきます。

バルサラの破産確率を理解する上で重要な3つの数字は、以下の3つです。

重要な3つの数字

❶勝率
❷ペイオフレシオ(損益率)
❸リスクにさらす資金比率

❶勝率

勝率 =利益トレード数 ÷ 全体トレード数

勝率は、総トレード開始の中で利益になったトレードの割合です。

10回の売買で7勝3敗なら勝率は70%です。勝率がたとえ90%でも、コツコツドカンでやられれば、トータルの成績はマイナスになります。多くの投資初心者は、コツコツドカンでやられて投資の世界から身を引きます。

❷ペイオフレシオ(損益率)

損益率 = 利益平均額 ÷ 損失平均額

ペイオフレシオは、勝ちトレードの平均利益と負けトレードの平均損失の比率です。「損益率」「損益レシオ」「リスクリワードレシオ」とも呼ばれます。
ペイオフレシオが1.0なら、勝率51%以上であれば、トータルで利益が出せることになります。

❸リスクにさらす資金比率

リスクにさらす資金比率 = 1回の許容損失額 ÷ 総資金額 × 100

リスクにさらす資金比率は、毎回のトレードで相場にさらす資金比率のことです。

バルサラの破産確率表

バルサラの破産確率表を引用させてもらって掲載します。
上から、❸リスクにさらす資金比率が~5%まで1%ずつ増加したときの結果で、赤:破産確率100%緑:破産確率0%を示しています

※クリックで拡大表示
※表は、ラプラスFXより引用

バルサラの破産確率(資金比率1%のとき)

バルサラの破産確率(資金比率2%のとき)

バルサラの破産確率(資金比率3%のとき)

バルサラの破産確率(資金比率4%のとき)

バルサラの破産確率(資金比率5%のとき)

バルサラの破産確率の問題点

自分のトレード結果を集計し、バルサラの破産確率に当てはめてみることで、トレードの改善ができます。ただし、取引所からダウンロードした取引データをもとに自己分析をする場合、罠にはまらないようにすることが大事です。

陥りやすい落とし穴

ご自身の取引データをもとに破産確率を計算する場合、間違いやすいのが「❷ペイオフレシオ(損益率)の求め方」です。

【再掲】ペイオフレシオ

損益率 = 利益平均額 ÷ 損失平均額

前節の❷の計算式で示した通り、リスクリワード・レシオは、「利益となったトレードの平均利益額(平均利益)と、損失となったトレードの平均損失額(平均損失)の比率」です。

この結果を計算する場合、多くの人は、「ご自身の損益が分かる取引履歴」を取引所などからダウンロードして計算すると思いますが、もし、あなたが常に指値で利益確定・損失確定をしているトレーダーでない限り、利益と損失になった取引の結果をそのまま当てはめても、バルサラの破産確率を計算することにはなりません。

最も危ないのは「含み損の最大額(最大ドローダウン)」

取引所の取引データから得られる「損失額」は、あくまでトレードが終了した時点で算出されたものであり、トレード中の「最大含み損」ではありません。

バルサラの破産確率は、口座が最も危機的な状況となる状態、つまり、「含み損の最大値(最大ドローダウン)」で計算しない限り意味がありません

多く裁量トレーダーは、損切りを実施する場合、最大含み損状態から、少し状況が回復した状態(これ以上、含み損が軽くならなさそうな状態)の時に、損失を確定させることがよくあるのではないでしょうか。

この場合、売買履歴に掲載されている損失は、「含み損の最大値」ではありません。

あくまで、「含み損の最大値(最大ドローダウン)」で計算してこそ、ご自身の破産確率を知ることができると認識しましょう。

破産しないトレードをするには(破産を回避する資金管理法)

バルサラの破産確率に基づきトレードするには

では、どのようにしたら、バルサラの破産確率に基づき、破産しないトレード破産確率0%でトレードができるでしょうか。

計算に基づいた指値トレードの徹底

バルサラの破産確率を決定する3つの要素の内、私たちが自分でコントロールできるのは、❷ペイオフレシオと、❸リスクにさらす資金比率の2つです。❶勝率は結果論でしかありません。

ですから、以下のようにトレードすればいいことになります。

バルサラの破産確率に基づいたトレードをする方法

  • 最初に❸リスクにさらす資金比率を、例えば2%と決めてしまう(資金100万円なら、1回当たりの資金は2万円まで)
  • その上で、❷ペイオフレシオ=2.5なら、例えば、利確値25pips、損切り値10pipsと決め、ポジションをとったら、すぐに指値・逆指値を入れる

※厳密には、スプレッドも考慮に入れる必要あり

トム・バッソのコイントストレード

バルサラの倒産確率と同様の考え方で取引をする、トム・バッソのコイントストレードは、
❸リスクにさらす資金=1%
❷ペイオフレシオ=3(トレーリングストップを用いることで>3を狙う)
を遵守したトレードを推奨したものです。以下の記事で解説しています。

資金2%で取引するなら勝率51%で勝てる

ペイオフレシオを適正に保ては、勝率は70%、80%も必要ありません。

乱暴な言い方ですが、1回当たりリスクにさらす資金が2%なら、スプレッドを考慮しなければ、利確値と損切り値を同じ幅に設定しても、勝率50%以上なら勝てます。

勝率100%を狙うトレード(損切りしないトレード)は今すぐやめましょう。

最後に

今回は、破産を避けるためにも知ってくべき「バルサラの破産確率」を解説。さらに、この破産確率を用いて自身のトレードを見直す際に間違いやすい「落とし穴」について解説しました。

この方法は、株、仮想通貨でも同様の考えで破綻を避ける資金管理を実践することが可能ですが、まず、これを「真に体得」するなら、1取引当たりの手数料(スプレッド)が小さく、小ロットで取引ができるFXが最もリスクを抑えて練習が可能です。

例えば、1通貨単位から取引ができる松井証券FX(MATSUI FX)のような取引所を使って練習すれば、損失も小さく、自分の取引スタイルが早く確立できます。

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