ロレックス投資:コロナショックで下落の高級時計相場。今後はどうなる? 2020年

ロレックスをはじめとする高級腕時計は、身に着ける楽しみ以外に投資対象としての魅力があると知ったのは2015年。同年に発刊された「腕時計投資のすすめ」を読んでのことです。

高級時計は不況などで価格が下がることがあっても、景気に連動して価格が回復してくる(下がっても上がってくる)。故に、賢く付き合えば、憧れの時計を身に着けながら、お金を儲けることも可能だ

著者であり、ご自身も腕時計投資家として活躍される斉藤由貴生さんの言葉になるほどなと思うと同時に、リーマンショック級の経済危機がやってきたら価格はどのように変動するのだろうと興味深く思っていました。

今年2020年。コロナショックにより世界経済は一転。高級腕時計市場も例外なく打撃を受けています。

そこで、著書「腕時計投資のすすめ」のポイントを振り返るとともに、今、高級腕時計価格はどうなったか、そして、今後どうなるのか、私なりに考察してみたいと思います。

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「腕時計投資のすすめ」のポイント

まずは、著書「腕時計投資のすすめ」の要点から、ロレックス投資、高級腕時計投資のポイントについて振り返ります。

高級時計が投資対象として優れる理由

富裕層の「モノ」投資には、不動産、絵画、車などがありますが、これらに対して高級腕時計投資が優れる理由は、売買のわずらわしさが少ないから。

例えば、不動産を例にすれば、不動産はそもそも事業(貸すなど)として考えるなど手軽に手が出せるものではなく、所有することで毎年税金がかかります。車も同様、駐車場・車検・自動車税など大きな維持費が必要です。また、絵画の場合も保管維持費がかかりますし、転売するにもオークションに出品するなど手間がかかりますよね。

それに対し、腕時計投資なら、高額品でありながら、維持費はほとんどかかりません。盗難防止には配慮が必要ですが、購入も売却も容易。 ブランド時計の買取一括査定などの方法も整っています。

手堅く投資するならはロレックス

高級腕時計の価格は景気や為替に影響を受けます。一方、需給によりプレミア価格がつくこともあります。一度、ブランド力が上がった銘柄であれば、一時的に不況などで価格が下がることがあっても、しっかり景気に連動して価格が回復する特性を持っています。

では、どんな時計なら投資対象になる得るのか?

それは、100年以上続く老舗のブランド品という価値に加え、ムーブメント(時計の駆動装置)から自社一貫製造するマニュファクチュールな時計ブランド。ロレックスパテック・フィリップは価格変動に強いブランドです。特に、ロレックスは価格が他の時計に比べ安定していることから人気。時計が好き、身に着けて楽しみたいという人もいますが、そもそも富裕層がロレックスを買う理由がロレックス投資のためというケースは多いです。

高級腕時計相場は「需要と供給」で決まる

リーマンショックのような不況が訪れれば、価格はすべからく下落しますが、平時は、高級腕時計相場は「需要と供給のバランスで変動」します。

例えば夏定番モデルは価格が下がる秋冬に買い、価格が高騰する春夏に売るだけで利益が出せますし、製造中止が発表になったモデルは入手困難になると価格が高騰するので、その前に仕入れて売却すると利益となります。つまり、購入のタイミング次第で利益にも損にもなるのです。

補足)
腕時計の値段は為替が影響しますが、ロレックスとパテック・フィリップの価格は、為替相場よりも1、2カ月遅れて変動します。そのため先が読みやすく、投資としても扱いと言えます。

高級腕時計投資の注意点

では、損しないためにどんな注意が必要でしょうか。
腕時計に限ったことではないですが、損をしないためには以下のことが大切です。

高級腕時計投資で損しないための注意点

・流行りものを避ける
・円が安いと気を避ける(円が高いときに買う)
・景気が良い時を避ける

かつての高級腕時計ブーム

最近は高級志向な若者は減っていますが、20代でも高級時計に群がる高級時計フィーバーの時期がありました。

そのきっかけを作ったのは「キムタク」。
1998年から99年にかけて放送されたドラマ「ラブジェネレーション」でキムタクがロレックスのエクスプローラーI 14270を着けていたことから、エクスプローラブームが発生。k結果、定価34万8000円のエクスプローラーが“プレミア価格”で60万円まで上昇しました。しかし、リーマンショック時は20万円まで下がりました。

今は…凄く価格が上昇しています。

2019年の高級腕時計市場

さて、では、コロナショック前の2019年、米国株価最高値を更新する中、高級腕時計はどのような相場展開をしていたのでしょうか。

2019年の高級腕時計市場はまさに好景気。いくつかの高級腕時計メーカーが定価を価格改定するほどの強気ぶり。市場も拡大を続けていました。

スイス時計協会FHが発表の2019年スイス時計輸出状況(2020年1月28日)によると、2019年のスイス時計の総輸出額は217億スイスフランで、2018年と比較して2.4%の増加。「輸出額では増加したものの、輸出本数では減少」であったことから、腕時計の価格が上昇していたと言えます。なお、第4四半期は香港民主化デモにより香港での大幅な落ち込みにより、成長が鈍化したものの、全体としては拡大していました。

なお、Swiss watch exports by marketによると、2000年以降、2015年以降、高級腕時計市場は好調で、中でも2019年が絶頂であったことがわかります。

2020年、高級時計市場はどうなるのか?

2019年、過去最大の盛り上がりを見せていた高級腕時計市場ですが、2020年1月以降、輸出は減少。現在は、新型コロナウイルスの打撃を受けています。上記Swiss watch exports by marketのデータを見ても、2020年2月には、明らかな輸出額の低下がみられ、3月、4月は更なる下落が酒ららない状況です。

本日4月21日のニュースでも、世界最大級の時計・宝飾品の見本市「バーゼルワールド」からの著名ブランドの撤退が相次いでいることが報じられています。当初、20年のバーゼルワールドは4月30日~5月5日までの開催予定だったが、運営するMCHグループ(スイス)が新型コロナの感染拡大を受けて21年1月下旬に延期を決定するも、その後、ブランド各社が見本市からの撤退を表明しています。
参考記事 時計見本市「バーゼルワールド」 ロレックスなど撤退(日本経済新聞、2020年4月21日)

見本市は高額な商談が成立する場。売り上げに大打撃であることは否めません。

世界最大級の時計・宝飾品の見本市「バーゼルワールド」から撤退ブランド続出

今のところ、ロレックス相場はまだ高い

では、個々の時計の相場はどうなっているのか?

ロレックスにはコスモグラフデイトナ、ダイバーズウォッチのサブマリーナ、シンプルなエクスプローラーやパイロットウォッチのGMTマスターなど、スポーツモデルをはじめとした複数の人気モデルがありますが、人気が高い商品の価格推移を見てみましょう。
参考HP ロレックス人気ランキング

コスモグラフ デイトナ 116500LN の価格推移

まずは、人気ランキング堂々No.1スポーツモデルの「コスモグラフ デイトナ」の価格推移を見てみましょう。

コスモグラフ デイトナ 116500LN の価格推移
コスモグラフ デイトナ 116500LN の価格推移(直近2年間)

初値   :¥1,993,283(2016年7月)
最高値  :¥3,057,914(2019年6月)
直近最安値:¥2,569,900(2020年4月)

上記は直近2年間の価格推移です。2019年6月にピークを付け、その後、2020年1月に再びピークを付けていますが、その後下落。2020年4月現在、一旦下げ止まりを見せていますが、下落は株式下落などに比べて明らかに下落はマイルドであると言えます。先行指標として動く株式市場に対して、モノの価格下落は株式相場に遅れてやってきます。今後、この価格が維持できるのかは?です。

ロレックス エクスプローラーI 214270 の価格推移

続いて、人気ランキングNo.3、モデルは違いますが、キムタクドラマでブームとなった「エクスプローラー」から、ロレックス エクスプローラーI 214270の価格推移を見てみましょう。

ロレックス エクスプローラーI 214270の価格推移
ロレックス エクスプローラーI 214270の価格推移(直近2年間)

初値   :¥562,786(2016年9月)
最高値  :¥877,137(2020年2月)
直近最安値:¥794,000(2020年4月)

エクスプローラーは、2020年2月に直近高値を付けており、ほとんど下落を下落してない状況です。びっくりするほど高値維持していますね。

今後、確実に「売り」は出る

ロレックスのような手堅いブランドの時計はコロナショックで価格は下落するも、株式などに比べて被害が非常に少ない状況です。

ただ、今後、飲食店など倒産が増えるのは確実。資金を作るために資産売却の一つとして、高級時計も一定量、売りに出てくるのではないかと考えます。特に、飲食業のお水系などからは、それなりに売りがでてくるのではないかと…

そうなったときに、お金に困っているから売りたいという派と、価格下落したから買いたい派の「需要と供給バランス」がどうなるかはわかりませんが、少なくとも、私なら、今は買わないです。

高級時計を所有されているなら、臨機応変に対処するために、売却見積を取っておくのも、「自衛の策」と言えるのではないでしょうか。

最後に

今回は、ロレックスなど高級時計投資について投資のポイントと、現状の相場についてまとめました。
正直、ロレックスに関しては、今現状は、値下がり幅が非常に限定的である点には驚きました。

かつては所有欲があった私も、今は、所有欲はありません。所有するよりミニマムを目指したい。もう何年もの間、「モノ」より「コト」消費派。趣味は、旅行・ジム・サウナ・読書。読書は8割はサブスクのKindle Unlimited本で、本も所有しません。

昨今は「所有よりシェアの時代」。コロナショックにより、時代はさらに大きく変化します。
そんな今は、所有欲・高級志向をなくすチャンスかもしれません。高級品を手放し、機能・利便性に価値観をシフトさせるいいきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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