2001年9月11日に発生し、2977人が死亡した米同時多発テロ事件「9.11」。
アメリカの象徴ともいえた世界貿易センタービルに飛行機が激突する映像を鮮明に覚えている人は多いと思いますが、2021年9月11日で20年を迎えました。

国際テロ組織アルカイダのメンバーらが旅客機4機をハイジャックして起こしたテロ事件に対し、ブッシュ米政権がテロへの徹底抗戦を宣言。国際社会は一気に「対テロ戦争」へ突き進みましたが、この戦争は2021年8月アフガニスタンの首都カブールが陥落し、タリバンが勝利宣言することで終わりを向けることに..

250兆円とも言われる戦費を投じ、米国史上で最も長い戦争の結末を見て、私が感じるのは、グローバル世界の中での米国パワーの衰え。コロナ感染で各国がグローバル経済から、ブロック経済化したことも大きいと思いますが、歴史を見れば、世界の覇権国は移り変わっています。

そこで、長期投資の観点から、米国の国家サイクルを見ておきたいと思います。

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算命学の基本:国家50年サイクル

歴史トレンドと経済のサイクルから今後の投資戦略を予測する菅下清廣さんのトレンド分析の1つ「算命学からみる国家トレンド分析」。
算命学については、別記事で紹介しましたが、ご存じない方も多いと思うので、以下、ポイントを再掲します。

算命学(さんめいがく)は、中国に発祥した干支暦をもとに運命を占う占術です。陰陽道をベースとした運命学で、特に国家を占うための特別の占術というわけではありません。これを「国」に当てはめ考えることで、国家の力・トレンドを予測します。

算命学では、国家の命運を占うに当たって「5つの時代 × 10年=50年」を1つのサイクルとして、国家のトレンドを予測します。このとき、国のサイクルの起点となるのは「憲法制定年」です。

算命学:国家50年サイクル

動乱期  :国に様々な価値観が溢れ、貧富の差が拡大する時代
教育期  :人材育成に力が入る時代。新旧の価値観が衝突する鬼門通過現象が起こる
経済確立期:有能なリーダーが現れ、国がまとまり、経済的基盤が整う時代
庶民台頭期:国が平和になり、民衆の文化が花開く時代
権力期  :政治家や官僚など支配層が民衆を押し付け、国力が衰退する時代

米国を算命学で占う

日本を算命学で占う

米国の国家サイクルの出発点は、「アメリカ合衆国憲法」が発行された1788年。
現在のサイクルは5周期目で、2021年は、庶民台頭期の3年目にあたります。

米国の50年国家サイクルと主な出来事

上記サイクルにおける50年国家サイクルを、「政権」「バブル」と「戦争」を軸にざっくりまとめたのが以下の表です。

期間主な出来事
5周目
動乱期1988年~1989年 ブッシュ政権誕生(共和党)
1989年 マルタ会談により、「冷戦の終結」が宣言
1991年 ソヴィエト社会主義共和国連邦の解体(ウクライナなど数国が独立)
⇒冷戦を終え、米国がNo.1の超大国へ
1991年 第一次イラク戦争
1990年代の半ば~2000年 IT関連企業の株価が大きく上昇
1993年 クリントン政権誕生(民主党)
教育期1998年~ 2000年 ドットコムバブル崩壊
2001年 ブッシュ政権誕生(共和党、2回目)
2001年 米同時多発テロ事件「9.11」発生
2001年 アフガニスタン紛争(タリバンから政権を奪うことに成功)
2003年 第二次イラク戦争(フセイン政権の打倒。アルカイダとのつながり、大量破壊兵器の保有を理由とした戦争だったが、濡れ衣だった模様。逆に内戦を引き起こし、過激派組織ISなどを生み出す結果に…)
経済確立期2008年~ 2008年 リーマンショックから連鎖した世界金融危機発生
しかし、米国市場は、世界金融危機を乗り越え、米国株価は右肩上がり成長
一方で、中国が急速に国力を増強。中国という新しい覇権国家の出現に直面し始める
2009年 オバマ政権誕生(民主党)
2017年 ドナルド・トランプ政権誕生(共和党)
庶民台頭期2018年~ 2020年 世界的コロナ感染、コロナショック
2021年 バイデン政権誕生(民主党)
2021年 米国史上、最も長い戦争アフガニスタン戦争が終焉
権力期2028年~

参考:歴代米国大統領

「戦争」からみる米国

米国国家サイクル5週目は、米ソ冷戦終結の終結からスタート。
上記の国家サイクルから見ると、新旧の価値観が衝突する鬼門通過は米同時多発テロ事件「9.11」となるのでしょう。
米同時多発テロ事件をきっかけに始まったテロとの戦いは、米国兵士7,000人以上、市民23万人以上の犠牲を生みました。しかし、2021年8月、米国はアフガニスタンからの撤退を発表、タリバン政権の復活を許すなど、「テロとの戦い」は20年の時を経て事実上敗北に終わっています。また、今後、イラクからも米軍を撤退させる予定です。

かつての「強い米国」という姿は少し形を変えているように思います。

「バブル」からみる米国

ナスダック指数(青)、S&P500指数※(赤)、不況期(灰色帯)
※S&P500は、一部データしか取得できず

一方、バブルを切り口に振り返ると、大型のバブル崩壊は10年単位で発生。しかし、その度によみがえり、経済確立期の初期には100年に一度の危機とも言われた「世界金融危機」が発生しましたが、その後、米国株式市場は、「経済回復期」と呼ぶにふさわしい驚くべき回復を見せています。

ピークは庶民台頭期

著書「新しいお金の流れに乗りなさい」によると、経済のピークは庶民台頭期にやってきます。そして、米国のサイクルは今まさに、「庶民台頭期」に位置します。

今は、「庶民台頭期」の3年目で、国が平和になり、民衆の文化が花開く10年サイクルの中にいます。2021年9月現在、株価はやや動揺しており小さく下落していますが、それでも株価は最高値付近です。

50年という長期サイクルの中には、もっと時間軸の短いサイクルがあるため、株価は上下動を繰り返しますが、もし、算命学をベースに考えるなら、米国の国家トレンドは、今が絶頂

中国の台頭やアフガニスタンからの撤退、イラクからの撤退(予定)など、国力が衰退する時代「権力期」に向けた兆候も、ちらほらと見受けられるように思います。

投資家としては直近の株価の動きも重要ですが、私の基本は長期投資です。大きな流れを意識して、投資を続けたいと思います。

最後に

今回は、歴史トレンドと経済のサイクルから今後の投資戦略を予測する「算命学」を元に米国の国家サイクルを考えてみました。

米国は今絶頂と考えるなら、今から考えるべきは、次の覇権国候補、つまり「中国」です。私は中国に対して知識がないため、少しずつですが、中国関連の本を読み始めています。

国家のサイクルは、人の人生にも少なくない影響を与えます。当然、不景気や動乱の時期が来れば、「生きにくい社会」となっている可能性が容易に想像がつきます。

資本主義は誤解を恐れずに言えば、「お金がなんぼ」「勝ち負け」の世界です。どんな時代がこようが幸せに生きるために、なるべく早く「資産形成」や「読書」で自己を高めてくことが大切と言えるのではないでしょうか。

以下では、それらに情報を紹介しています。

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