
2025年10月、日経平均株価が史上初の52,000円台に到達し、株式市場はにぎわっています。
しかしその裏で、東証株価指数(TOPIX)の動きは鈍く、両者の乖離が目立つ状況です。
本記事では、
NT倍率とは何か、
NT倍率の現状:上昇が示す市場の偏りとその原因、
投資家が取るべき短期・中期の戦略 など
を、私なりにまとめます。
日経平均とTOPIXの乖離が拡大
NT倍率:2017年から
• 日経平均は10月に約12%上昇し、ついに5万円台を突破。
• 一方、TOPIXは4.7%の上昇にとどまる。
→ NT倍率は15.7倍まで上昇し、4年ぶりの高水準。
📌背景にあるのは
ソフトバンクG・アドバンテスト・東京エレクトロンなどの値がさテック株の急騰
NT倍率とは
✅ 日経平均株価:
東証プライム上場銘柄のうち、代表的な225銘柄の価格加重平均。
1株の株価が高い銘柄(例:ファーストリテイリング、東京エレクトロンなど)が指数に強く影響。
✅ TOPIX
東証プライム全銘柄の時価総額加重平均。より市場全体を反映。
✅ NT倍率
NT倍率 = 日経平均 ÷ TOPIX
👉 日経平均が相対的に強ければ上昇、TOPIXが強ければ低下。
現在の上昇背景
1️⃣ 外国人投資家による大型株・指数買い
• 為替が円安(例:1ドル=150円前後)で、日本株は相対的に割安に見える。
• 外国人投資家はETFや先物で日経平均を買う傾向が強い。
結果的に指数寄与度の高い大型株(ファストリ、東エレ、ソフトバンクGなど)に資金が集中。
👉 日経平均がTOPIXより上がりやすい。
2️⃣ 半導体・AI関連株への集中
• 米ナスダックが高値圏、特にAI半導体テーマが続伸。
• サナエノミクスの政策と注目テーマ株に資金
半導体・AI、防衛、次世代エネルギー、インフラなど
👉 東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクなどが買われ、日経平均を押し上げ。
一方で内需・中小型株は伸び悩み。
3️⃣ TOPIXリバランス効果の一服
• 2024〜2025年にかけての「ガバナンス改革・PBR1倍割れ是正」テーマでTOPIXが買われてきた
→これに一服感。
👉 再びグロース/大型株優位に資金が回帰。
NT倍率上昇から読み取れる「市場構造」
| 現象 | 意味 |
|---|---|
| 日経平均>TOPIX | 「一部の大型株」主導の上昇 |
| NT倍率が高止まり(例:15倍超) | 相場の偏り・過熱感のシグナル |
| TOPIXが伸びない | 中小型株・バリュー株が置き去り |
つまり、「日経平均の上昇=日本株全体の好調」ではないことが明確。
実体経済・中堅企業・地方銘柄への波及は限定的。
👉株式投資をしていない人はもちろん、株式投資家でも保有銘柄により、日経平均の賑わいが感じられない。
投資家としてとるべき対応
NT倍率 長期チャート:1989年から
私は、次のような点を意識しておくべきと考えます。
✅ 短期的には「指数主導銘柄」フォロー?
日経平均寄与度上位銘柄(ファストリ、東京エレクトロン、ソフトバンクG、キーエンスなど)は、短期資金の流入が続く限り強い。
✅ 中期的には「分散・TOPIX型」へ回帰を意識
NT倍率が高止まりすると、その後はTOPIX優位(=大型→中小型シフト)が起きやすい。
👉 中小型への循環を意識。 バリュー株、PBR1倍割れ銘柄への循環に備える。
✅ ポートフォリオの見直し
• 現在は、日経平均の一部銘柄集中・過熱気味
• 現在は日経平均偏重すぎるポートフォリオを見直す好機かもしれない。
※NT倍率チャートでは、一旦、前回最高値にヒットし、一旦、下げる?
✅ マクロリスクにも注意
• 為替が円高転換すると、一気に日経平均主導相場が反転しやすい。
• 米国金利動向・日本の金融政策(利上げ議論)にも敏感に。
一言まとめ:
「日経平均の高値=日本株全面高」ではない。
いま必要なのは、“広がり”を見る冷静さと、“偏り”を利用する柔軟さ。冷静な判断を。






