
2025年10月31日、日経平均株価は史上初の5万2,000円台を突破し、終値は52,306.72円(+1,085.73円)。
10月最終週だけで、1日1,000円を超える上昇が3回も発生するなど、近年まれに見る激しい値動きが続いています。
日経平均が短期間で大きく変動するような展開になると、「安心して保有できる相場かどうか」という視点から、値動きの“激しさ”を把握するための指標「ボラティリティ」が気になります。
本記事では、以下を整理します。
 • 日経平均ボラティリティ(日経VI)の現状
 • 危険水域はいくつ>
 • 過去に日経VIが危険水域を超えた時、市場で何が起きたか
目次
📈 日経平均:市場の熱気。1週間で3回1,000円以上上昇
| 日付 | 終値 | 前日比 | 高値 | 安値 | 
|---|---|---|---|---|
| 10/27(月) | 50,512.32 | +1,212.67 | 50,549.60 | 49,838.98 | 
| 10/28(火) | 50,219.18 | −293.14 | 50,485.80 | 50,107.77 | 
| 10/29(水) | 51,307.65 | +1,088.47 | 51,412.97 | 50,365.62 | 
| 10/30(木) | 51,343.00 | +35.35 | 51,683.00 | 50,974.00 | 
| 10/31(金) | 52,411.34 | +1,085.73 | 52,411.34 | 51,629.80 | 
しかし、この日経平均の上昇は、一部の値がさ株が主導する脆弱な上昇との指摘もあります。
 事実、日々、サナエノミクス銘柄は大相場を主導しています。
日経平均のボラティリティとは
市場の不安や期待を読み取る手がかりとなるのが、日経平均のボラティリティ「日経平均VI」です。
ボラティリティ(Volatility)とは、株価の値動きの大きさ=変動率を意味します。
 つまり、「市場がどれくらい荒れているか」「投資家がどれほど不安を感じているか」を測る温度計のような存在です。
💹日経平均VIとは?
• 日経平均株価の1か月先の予想変動率を数値化したもの。
 • 日経平均オプションの価格から算出
 • 米国の「VIX(恐怖指数)」の日本版にあたる。
💡日経平均VI:活用ポイント
• VIが急上昇:市場が不安定になっているサイン。リスク管理を強化すべき
 • VIが低水準:市場が落ち着いている状態。長期投資には好機となることも。
📌特に短期トレードでは、VIが急上昇した局面は「市場の転換点」になりやすく、
 長期投資でもリスク管理の指標として重要です。
日経平均VIの危険水域
VIの数値は高いほど、市場の変動予想が大きく、警戒ムードが高まっていることを意味します。
 おおよその目安は以下の通りです。
| VIの数値 | 市場の状態 | 投資家心理 | 
|---|---|---|
| 10〜20 | 安定的 | 楽観的 | 
| 20〜30 | やや不安定 | 警戒感あり | 
| 30以上 | 不安定 | リスク回避傾向 | 
| 40以上 | 極端な不安 | パニック的売りも | 
💡ポイント
 • 危険水域は40以上。リスクオフ・パニック売りの発生ゾーン。
 • 通常は20~30ポイントあたりに落ち着いて推移することが多い。
📈 現在は?日経平均(上)と日経平均VI(下)
 
2025年10月31日現在、日経平均VIは上昇傾向。徐々に、警戒感が高まっています。
過去、日経平均VI40を超えた時、何が起きたか
では、過去に日経平均VIが40を超えた時、金融市場では何が起こっていたのか?
 表にまとめてみました。
| 時期 | VI水準(目安) | 出来事 | 背景・概要 | 市場の反応と投資家心理 | 
|---|---|---|---|---|
| 2008年9月 | 約 92.03 | リーマン・ショック | 米金融機関の破綻を契機に世界金融危機が発生 | 株価が急落し信用不安が拡大。極端なリスク回避が進行 | 
| 2011年3月 | 約 69.88 | 東日本大震災 | 大地震と原発事故リスクで日本市場が混乱 | 流動性が低下し不確実性が急拡大。安全資産志向が強まる | 
| 2013年5月 | 約 43.74 | バーナンキ・ショック | 米国の量的緩和縮小観測で金利上昇懸念が強まる | 株式市場が調整局面入り。金利上昇への警戒が広がる | 
| 2015年8月 | 約 47.01 | チャイナ・ショック | 中国株の急落と人民元切り下げで世界株安が連鎖 | 輸出関連株が売られ、リスクオフが加速。新興国不安が拡大 | 
| 2016年6月 | 40超え | 英国のEU離脱(Brexit) | 国民投票で離脱決定。欧州経済への懸念が拡大 | 円高と株安が進行。欧州発の金融不安が波及 | 
| 2020年3月 | 50超え | 新型コロナウイルスのパンデミック | WHOがパンデミックを宣言。世界中でロックダウン | 日経平均は1ヵ月で約30%下落。現金化とリスク回避が急加速 | 
| 2022年2月 | 40台 | ロシアによるウクライナ侵攻 | 地政学リスクが急上昇。資源価格が高騰 | 株式市場は急落。円高・金買いが進み安全資産志向が強まる | 
| 2024年8月 | 40超え | 米金利急騰+中国不動産不安 | 米長期金利が5%台に乗せ、中国恒大問題が再燃 | 株式市場が急落。信用不安と資金逃避が広がる | 
| 2025年8月 | 40超え | 第2次トランプ政権で関税政策の再強化 | 日経平均が高値更新後に経済不安が重なり利益確定売りが急増 | 「政策不確実性」から投資家のリスク回避姿勢へ | 
🧩 共通点
• いずれも「市場の転換点」や「予期せぬショック」の直前または最中に発生。
 • ボラティリティの急上昇は、しばしば*異変の予兆として、機能してきた。
🧭 まとめ:今こそ「ボラティリティ」を見る時
• 日経平均が5万2,000円を突破した今、相場の熱狂と警戒が同居する局面。
 • ボラティリティ(日経VI)は、投資家心理を映すリアルタイム指標。
 • 通常レンジ(20〜30)を大きく超える40以上では、市場が「異常事態」の可能性が高い。
 • 過去の経験が示す通り、「上がる相場」よりも「揺れる相場」にこそ冷静さが問われる。
👉「最近変動が激しい」と感じるときには、
 株価の“高さ”以上に、市場の温度(ボラティリティ)に注目することが、今の相場を読み解くカギになりそうです。








