証券会社のクレジットカード積立の上限額が、2024年3月から10万円に引き上げられる見込みです。
金融庁は3月中にも内閣府令を改正。実質的な投資上限を月5万円から10万円に引き上げます。これは、2024年1月に始まった新NISAで、配当や売却益が非課税になる「つみたて投資枠」の上限額が月10万円になったことを受けた変更で、1月26日、鈴木俊一金融相が閣議後会見で明らかにしました。
クレカ積立の現在確認と、今後について、注意点を考えてみます。
2024年3月~、クレカ積立上限10万円/月に
クレカ積立は、基本月額5万円です。これが、2024年3月からは、月10万円に引き上げられます。
ただし、一部カードでは1月から10万円の積立がが可能になっています。現在・今後の対応状況は以下の通りです。
証券会社 | 決済手段 | 還元率 | 備考 |
---|---|---|---|
2024年1月~ 月10万円 | |||
tsumiki証券 | エポスカード | 積立年数に依存 | これとは別に、エポスカード100万円修行でボーナスポイントあり |
大和コネクト証券 | セゾンカード | 0.5%還元 | 実質年会費無料カードでもOK |
セゾン投信 | セゾンカード | 最大0.5%還元 | 実質年会費無料カードでもOK |
2024年1月~ 月5万円×2決済=月10万円 | |||
楽天証券 | 楽天カード 楽天キャッシュ | 最大1.0%還元 | 2024年法改正後、カード単体でも10万円/月 |
PayPay証券 | PayPayカード PayPay残高 | 0.7%還元 0.5%還元 | 2024年法改正後、カード単体でも10万円/月に |
2024年法改正後、月10万円 | |||
SBI証券 | 三井住友カード 他 | 最大5%還元 | カードランクにより0.5~5% |
マネックス証券 | マネックスカード | 1.1%還元 | 年会費無料カード |
auカブコム証券 | au PAYカード | 1.0%還元 | 年会費無料カードでもOK |
楽天証券と、PayPay証券は、現在も2決済の組み合わせで月10万円まで投信積立が可能ですが、PayPay証券は法改正後はカード単体でも10万円の投信積立を可能にすると報じています。楽天カードについても同様の対応となるでしょう。
各社、キャンペーン開催
なお、各社、新NISA顧客獲得のため、キャンペーンを行っています。NISAに関わらず、他の証券会社でもクレカ積立をしようと思っている方は、平時より、お得に投資を始められます。
口座開設だけでポイントがもらえるキャンペーンを開催している証券会社もあるので、口座開設でお小遣い稼ぎをするのも手です。
クレカ積立上限10万円にUPで注意「ポイ活封じ」
あえて、クレカ積立にするメリットは、決済時につくポイントです。積立額の上限が5万円⇒10万円になれば、その分、クレジットカード会社のポイント負担総額は増えることになります。
証券会社・クレジットカード会社になって、単に負担にしかならない決済については、ポイント付与が改訂される可能性をはらんでいます。特に、以下の2点は注意が必要です。
❶即売り対策
❷ポイント還元率の低下
即売り対策
まず一つ目が、即売り対策です。
即売りとは、カードで積み立てた投資信託を、ポイントだけ獲得後、すぐに売却してしまうことです。
証券会社にとってみれば、これは、ポイントの取られ損。積立総額にも、永続的な手数料収入の獲得にも寄与しません。真っ先に封じてくると思われます。
実際、先行して1カードで10万円/月の積立を実現している、tsumiki証券(エポスカード)は、即売り対策を発表しています。
ポイント還元率の低下
カードによって、ポイント還元率の上限が変更になることもあり得ると考えられます。
例えば、現在最もクレカ積立が高還元となる「SBI証券✕三井住友プラチナプリファード」の場合、還元率は5%。10万円分に対してポイントがつけば、年間60,000円のポイントとなります。年会費が33,000円と高額ですが、それでも、クレカ積立だけで、年会費を払っても27,000円利用者が得することになります。
これを許すか?仮に、キャンペーンで一時的に5%還元があったとしても、永続的にとなると、ちょっと厳しいように思います。予想を裏切ってでも、5%還元が継続されるなら、それだけ、その他決済額も大きい優良顧客なので手放したくない…ということになるかと思いますが、さて、どうなるでしょうか。