子供のころ、大好きだったお絵描き。
しかし、中学生になると、絵を描くことが嫌になり、嫌いになり、そして描けなくなった…
こんな方は多いのではないでしょうか。私もそんな一人です。
実は、絵を描くなど、クリエイティブワークが苦手になる年齢は「13歳」ごろ。「自我の目覚め」で他人を意識するようになることで、「自分の内からの創造性」が失われていきます。
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しかし、新規ビジネスや売り方を考えるなど、大人には「創造力」が必要です。①新しく、②独自性があり、③役に立つアイデアを生み出す力が必要です。
では、大人は、衰えてさび付いてしまった「創造脳」を、どう鍛えればいいのか?
今回は、佐宗邦威さんの『模倣と創造~13歳からのクリエイティブの教科書』に、大人のクリエイティブ「創造」を学びます。非常に、有益な本です。頭の使い方が変わるきっかけがもらえます!
なぜ、13歳で「創造性」が失われてしまうのか
なぜ、13歳ごろを境に、「創造力」が衰えていくのでしょうか?
小学校5~6年生ごろになると、他者と区別して「自分を意識」するようになり、嫌われたり、変人扱いされないように「人の目」「世間」を気にするようになります。「論理」や「世の中のルール」をベースに物事を考えるようになり、自分で新しい「創造」をしなくなります。現実的になり、想像・妄想しなくなるのです。
その結果、「自分」が後回しになり、本来持っていた感性センサーが鈍くなり、「創造性」が一気に衰えてしまうのです。
「あなたがやりたいことは?」と尋ねられても、答えられない大人、たくさんいますよね。「自分の好き」がわからないのです。ここまで、「感性」は衰え、やりたいことを創造する力もなくなっているのだと、自覚しましょう。
「創造力」について
創造力には、❶世の中を変えてしまうような「大きな創造」と、❷名もなき「小さな創造」があります。
本書で主に議題にするのは❷の「小さな創造」が、これ、極めて大事。「小さな創造」こそ、人がより良く人生を送るために大切な「創造」だからです。
小さな創造の積み重ねが、人を豊かにする
「小さな創造」は、例えば、絵を描く、新しい料理へのチャレンジ、DIYなど、何かをクリエイトすることです。より便利に・豊かに生きるために、自分なりのアイデアで、目の前にある作業工程を見直してみるのも「小さな創造」です。
「大きな創造」も、まず、無数の「名もなき創造」が必要です。「名もなき創造」がたくさんあってこそ、世の中が変わる「大きな創造」が生まれる可能性が高まるからです。
大事なのは、自分自身の「小さな創造」
自分の夢・理想を考える行為は、「自分の未来を創る創造」です。
現代社会は、高度経済成長期のように「頑張れば、豊かになれる」という成功法則が通用しません。しかし、これでは頑張れない。だからこそ、過去以上に「自分のポジティブな未来を創造する力」が大切です。希望が見つかりにくい世の中でも、 自分の想いや考え方次第で「希望を創造」し、ポジティブな変化を成し遂げていくことが求められるのです。
創造力をいかに鍛えるか:創造の3ステップ
創造力を鍛えるには、茶道や武道の修行のプロセス「守・破・離」のように3プロセスからなります。
要点をまとめたのが、以下の表です。
❶模倣 | 【守:基本や型を身につける段階】センスはここから生まれる ・自分の「好き」を身体で感じ、観察し、徹底的に模倣することが第一歩 ・大事なのは、どのようにまねるか ・意識を外に向け、自分の感性のセンサーが反応するものと出会っていくのが重要 |
❷創造 | 【破:既存の型を破り発展させる段階】 ・感性のセンサーを働かせて過ごしていると、「違和感」に遭遇する ・違和感を攻略するために、自分ならどうするかを考え、 「自分らしさ」を足していく |
❸創造 | 【離:基本や応用から離れ、独創的かつ個性を発揮する段階】 ・具体化するために、インプット⇒ジャンプ⇒アウトプットを繰り返す ・自分の創造サイクルを回し、制作物に落とし込む |
以下では、3ステップをもっと詳しく見ていきましょう。
❶模倣──まねる
創造の第一歩は「まね=模倣」です。対象物を「じーっとしっかり観察し真似る」ことです。そして、「模倣によって感性のセンサーを開く」ことです。
【観察】まずはよく見よ
人は自分が思うほど、物事をよく見ていません。ありのままをそのままとらえられていません。描くことの半分以上は、目の前のものを正しく認知すること、すなわち「観察する技術」です。
ここで大事なのは、模倣の際に「より良くする」ことです。
人間が他の生物より優れていたのは、「模倣」し、それを改善して、さらに良いモノを作り出す力があったことです。模倣⇒改善の繰り返しがあったからこそ、人間は高度な社会を作りあげられたのです。
【手考】手を動かすから「形」になる
インプットとアウトプットの間、 集めた情報を自分なりの考えに落とし込む「考える」段階では、「頭で考える」だけでなく、「手を動かす」ことは極めて大事です。
大事なのは、手書きは「考えたものを描き出す」のではなく「描くことで考える行為」だという点です。手を動かすからこそ、形になるのです。手を動かすことで、細かな点が気になり、どう表現するかを(手で)熟考します。
【感性】「センス」を決める3つの軸
センスとは「感じる」ことです。好きを感じる「感性のセンサー」が働かないと、「自分のセンス」は発動しません。
ここでの注意は、「これは使えそう/お得」といった反応は「感じる」とは違うという点です。これは「感性」ではなく「損得判断」です。大事なのは「好き」「美しい」「居心地がいい」といった感性センサーです。このセンサーを働かせるためにも、平時から「身体の声」に敏感になりましょう。
このセンスを高めるコツは「センスの3軸」を意識することです。ただし、すぐに身につくものではないので、日ごろからの訓練が必要です。
❶自分の軸 | 自分が好きかどうか |
❷時代の軸 | 流行。感度が高い人が面白いと感じるものに早く素早く目をつけられるか |
❸品質の軸 | 上質かどうか |
想像 — えがく
私たちは、何か新しいコトを始めるとき、最初に「効率」「道具・ツール」を考えたりしがち。しかし、大事なのは、まず「始めること」。「とりあえず、何か想像して、表現してみる」ことです。
【感情】自分と対話する
新しいオリジナルの表現は、他人を意識することなく、「自分を中心に置く」ことができて初めて生まれます。自分が主語の時間を取り戻すために、利用したいのが「日記」です。
例えば、「怒り」の感情に支配されているとき、その背後には、必ず、「自分が大事にしている何か」があります。また、「モヤモヤ」は、「違和感」、つまり「自分の感覚」と「世の価値観」にギャップを感じているのです。これらは、「自分発の創造」のサインであり、寝かせて発酵させると、時に思わぬアイデアにつながります。「モヤモヤ」「違和感」に気づいたら、メモっておくのがベターです。
感情の抑制は「大人が生きるコツ」ではありますが、抑制が癖になると、クリエイティブに不可欠な「違和感」に気づけなくなります。注意が必要です。
【想像】自由に妄想、未来の景色を頭に描く
「成功」には「妄想」が必要です。
「私には想像力がない」と思っている人の大半は、そもそも、普段から想像力のトレーニングをしていません。できなくて当然です。
想像力のトレーニングを鍛えるために、以下の方法を試しましょう。
❶目をつむって自分がワクワクするシーンを、具体的に妄想
❷それを物語として言葉で書いたり、スケッチで描いたりして、実際に表現
❸表現したものを、自宅の見えるところに貼っておく
一度、理想のイメージが頭に出来上がると、人間の脳は現実とのギャップを無意識に感じて、そのギャップを埋める情報を探し始めます。自分の成功イメージでこれを日々、行えば、夢・目標の達成も近づきます。
❸創造 ──つくる
模倣によって「感性のセンサー」が働き、想像によって自分が描いてきた想いやビジョンが生まれてくると、私たちは自然に形にしたくなります。これが、創造の3段階目です。
【飛躍】突然変異を意識的に作る
創造的思考は、論理的思考とは全く違う頭の使い方が必要です。上がその違いを表した図です。アイデアや答えのない答えに解を出そうとする場合も、インプット─ジャンプ─アウトプットを何度も繰り返しながら、「突然変異」を意識的に作る必要があります。そのためにも、たくさんの情報収集も必要です。
また、思考がまとまっていくイメージも持っておくといいです。下図のように、創造的思考は、最初はモヤモヤぐるぐるし、考えがあっちに行ったり、こっちに行ったりと拡散します。それが、手を動かしたり、散歩したりして、身体も使って考えることで、焦点が定まっていくんです。
デスクにかじりついていても、アイデアはおりてきません。「身体感覚」「視覚刺激」に、さらに、「人との会話」も加えて、突然のひらめき発火させましょう。
ワンポイント
忙しい時に、机や部屋を片付けたい衝動にかられたことはありませんか?実は、「片付け」は創造の発火を促します。脳科学的に、情報を一気に整理する(考えなければいけないことを減らす)と、ひらめきが起こりやすくなるからです。
【熟成】リラックスは大事
創造脳を活性化させるには、集中と弛緩が必要です。集中だけではだめで、煮詰まったらしばらく寝かして、アイデアが降りてくるのを待つ「弛緩」モードの使い分けが大事です。
ここで大事になるのが、ぼっとしているときに稼働する「デフォルト・モード・ネットワーク」です。これについては、以下の記事を参考にしてください。
【企画】楽しさから始める
企画を考えるときのコツは、自分がやりたいことが最終的にどんな形になっていたら面白いか、という「最終形」を絵に描いてみることです。
これを実践しているのが、Amazonです。Amazonの強さの秘密はココにあります。詳細は以下の書評で紹介しています。
このスキルを鍛えるためには、とにかく落書きをすることです。
「生みの苦しみ」の乗り越え方
新しい何かを生み出すときは、「生みの苦しみ」があります。この苦しみは2つに大別できます。
❶自分の伝えたいことがわからない
❷今、自分のつくっている表現では、相手にうまく伝わらないのではないかと、不安になる
❶について
何かをつくることは、答えのない問題に挑戦することです。最終的には、自分でこれでいい、と納得する以外に正解はありません。まずは、人に話してみつこよfrづ。または、改めて、自分がなぜこの作品をつくりたかったのか? という原点に立ち戻ってみましょう。案外、一番最初につくりたいと思った動機に、自分の作品のモチーフが隠れていたりします。
❷について
新しい創造的なアイデアは、当然ですが受け手は見たことも体験したこともないものです。それを伝えるのは非常に難しい。このためには、自分の考えていることは、何に似ていますか、日ごろからトレーニングすることが効果的です。造語・キャッチフレーズづくりなどはその例です。
最後に
今回は、佐宗邦威さんの『模倣と創造~13歳からのクリエイティブの教科書』からの学びを紹介しました。
ここでまとめたことは、本書の一部です。実際にお読みいただくと、もっと大事なことに気づけるかもしれません。
個人的に、本書からの最も大きな学びは、創造で「自分の理想の未来が描かれ、それを実現しようと、小さな創造を繰り返すことが、自分の幸せにつながる」ということです。これは、自分らしく生きることでもあります。
今の私には「自分に向き合う時間が不足」しているので、週末にでも、ノートとペンを持って、カフェに出かけてみたいと思います。
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