
いま世界では、“お金の値段”である金利が一気に上がっています。
背景にあるのは、中東情勢の悪化によるエネルギー価格上昇懸念です。
「原油高 → インフレ再燃 → 利下げできない → 金利上昇」という流れです。
そして、この“金利上昇”は、為替・株式・不動産・債券のすべてに影響します。
現在の金融市場の状況を確認しておきます。
目次
日本国債10年 利回り推移
上記は、2008年からの日本国債10年 利回り推移です。
• 日本の10年国債利回りは2.8%台
• 30年国債は4%超え
海外でも金利は上昇傾向。
ただし、金利上昇の第一波がコロナ過(2020年~)に発生しました。
故、長期チャートで見ると、日本とは形状が全く異なります。
• 米国10年債は4.6%
• 米国30年債は5%超
以下は、米国10年債の利回り推移です。
【株式】なぜ金利が上がると株価は下がるのか?
ニュースでよく、「長期金利上昇を嫌気して株安」という表現を見ます。
しかし、今は、金利が上昇しているのに、世界的に株価は高い状態にあります。
まず、これを見るに当たって、
まずは先に、
一般的なセオリー「なぜ金利が上がると株が売られるのか」
を、3点で確認します。
1️⃣ 将来の利益の価値が下がる
2️⃣ 【債券】魅力が上がり、【株】が割高になる
3️⃣ 企業の借金コストが増える
将来の利益の価値が下がる
投資家は、「その会社が将来どれだけお金を稼げるか」を予想しながら株を買っています。
ここで重要なのが、「未来のお金」と「今のお金」は価値が違うという考え方です。
これが、将来のお金を現在の価値に割り引いて考えるDCF(ディスカウント・キャッシュフロー)という考え方です。
100万円の価値は?
例えば、
• 今すぐもらえる100万円
• 10年後にもらえる100万円
なら、普通は「今の100万円」のほうが価値がある。
なぜなら、その100万円を預金や国債で運用すれば、利息が付くからです。
これが、👉金利が高いほど「未来のお金」の価値は小さくなるということ。
たとえば10年後の100万円の現在価値PV = FV ÷ (1 + r)n は、
| 金利 | 現在価値 |
|---|---|
| 1% | 905,287円 |
| 3% | 744,094円 |
| 5% | 613,913円 |
金利5%なら「10年後の100万円は、今の61.4万円くらいの価値しかない」ということです。
危険なのは、将来利益に期待するグロース株
この影響を最も受けやすいのが、将来利益に期待して買われている株です。
つまり、
• 将来利益に期待するグロース株
• AI・ハイテク株
• PERの高い銘柄
などの“未来期待型”株式銘柄です。
これらは、「今は利益が少ないけど、将来すごく儲かるはず」という期待で買われています。
だから金利上昇で「未来の価値」が割り引かれると、株価が急落しやすくなります。
2022年に米NASDAQが暴落したのも、まさにこれでした。
【債券】魅力が上がり、【株】が割高になる
投資家は常に、「わざわざリスクを取る意味があるか?」を考えています。
例えば、
• 米国債で5%もらえる
• 定期預金でも金利が付く
なら、「値動きの激しい株を持つ必要ある?」となります。
金利上昇は「PER低下」を引き起こす
株式投資で最もよく使われる指標の1つ、株価収益率 PER=株価 / EPS
超ざっくり言うと、「その株が、利益の何年分まで買われているか」
「PER◯倍なら絶対に割高/割安」という万能基準はありませんが、
一般的な目安は
5〜10倍:割安圏
10〜15倍:普通〜やや割安
15〜20倍:標準的
20〜30倍:成長期待あり
ここで、金利が5%など、高水準だと何が起こるか——
金利上昇 → 投資家が安全資産へ移動 → 株に高いPERを払わなくなる → 株価下落
という流れになります。
企業の借金コストが増える
企業は運転資金・設備投資・開発など、借金して経営しています。
故に、金利上昇でマイナスを受けやすい企業が増えます。
これは株価に不利です。
🟢金利上昇でマイナスを受けやすい企業
• 不動産
• REIT
• インフラ
• 電力
• 借金依存型企業
• 財務の弱い中小型株
🟢逆に金利上昇でプラスを受けやすい企業
• 銀行
• 保険会社
• 資源・エネルギー関連(インフレ局面)
結局、金利上昇で重要なのは「お金を借りる側か、貸す側か」です。
【現在】それでも株価が高いのはなぜ?
さて、ここが今の相場の最大のポイントです。
本来、金利上昇は株に逆風です。
それなのに、
• 米国株は高値圏
• 日本株も強い
• AI関連には強い資金流入が続いている
なぜか?
🟢インフレになると、
• モノの価格が上がる
• 売上高が増える
• 名目利益が増える
🟢昨今のAIブームで
• 半導体/データセンター/電力/AIインフラ 関連企業は利益が急拡大
つまり、現在は、
金利上昇によるPER低下 を EPS成長 で打ち消している状態にあります。
📌ただし、今の株高には危うさもある
現在の株高は、
• 本当に利益成長に支えられているのか
• ただの熱狂なのか
が非常に見えづらい。
投資家心理が過度に楽観へ傾いている可能性もあります。
では個人投資家はどう考えるべきか?
かつては、「景気が良い=株高」でした。でも今は違います。
市場は、
• 中央銀行の政策金利
• インフレ、つまり、中東問題はいつまで続くのか
を中心に動いています。
つまり現在は、「金利が世界の資産価格を支配している相場」です。
従来以上に、株式投資をするなら、企業業績だけでなく、
• 長期金利
• 原油価格
• 為替
• 中央銀行
• 中東情勢
までセットで見る必要がある時代にあることを忘れてはいけません。
世界は益々複雑化しています。
株価だけで一喜一憂することなく、広く世界を知ることが求められます。






