今週、金融市場を最も驚かせた急激な円高。12月7日から8日にかけて、ドル円は147円から141円に急落で市場は大混乱。今週は終値はドル円は144.93円で引けています。
急激な市場変化の背景には必ず理由があります。その背景と現状を確認しておきたいと思います。
目次
急激な円高が進んだ背景
急速に円高が進むきっかけとなったのは、前日の植田和男日銀総裁の発言です。参議院財政金融委員会で「年末から来年にかけ一段とチャレンジングになるというようにも思っている」などといった発言が、政策修正が近い⇒円高に向かうとの思惑が一気に広まりました。
一方、これまで長期で続いてきたので円売りポジションは貯まりに貯まっています。この円売りポジションが植田総裁の発言で一気に巻き戻されることとなり、一気に円高に進むことになりました。
さらに、年末でドル買い注文も少ない中で、円売りポジションが一気に巻き戻されたことで、円高に歯止めがかからなくなり、ストップロスも巻き込んで一気に141円まで円高が進んだ。これが、今週の円高の背景です。
今後ドル円はどう動くのか
為替を動かすのは何か
為替は、2つの通貨間の力加減で決まります。
・紙幣発行量増加を見込んで、相対的に価格は下落
・金利低下を見込んで、相対的に価格は下落
この力配分で決まります。2つの通貨の紙幣量が変化していなければ、為替の方向を決めるのは「金利差」です。
金利の勉強をしたければ、以下の本を読みましょう。株の知識をつける以上に大事な知識です。株式市場も、金利の影響を受けて動きます。
今後ドル円はどう動くのか
とすると、現在のドルと円の状況はどうか?
これまでは、ドル:金利上昇、円:微々たる上昇で、2通貨間の金利差が拡大、結果、円安が進行してきました。しかし、今後はドル:金利下落方向、円:金利上昇傾向にあります。とすれば、2通貨間の金利差は狭まり、円高圧力が働くことになります。
市場はドルの政策金利の下落時期は2024年半ばと言われています。一方で、円の長期金利(下にチャート掲載)はまだ0.7%台です。マイナス金利解除のタイミングがいつになるのかが次の焦点なのでしょうか?
いずれにせよ、マイナス金利が解除されても、ドルと円の金利差は埋まりません。円高が進んだとしても、ここ数年の円安進行へ幅分の半分も戻さない感じがします。
いつ円安の出発点とするかによりますが、半値戻しで125~127円。せいぜい戻してフィボナッチ38.2%戻し?この場合では131~133円です。キリが欲レベルで考えれば140円。現時点では、ざっくり、円高が進んでも、130~140円ぐらいと考えておきたいと思います。
関連データも眺めておく
以下、現状を読み解くうえで大事なチャートも掲載しておきます。
現在の米国政策金利とS&P500
赤線:S&P500
ドル円の動き
赤線:ドル円