2024年の幕開け、年明け早々、最初のお出かけは「初詣」という方は多いのではないでしょうか。日本人に宗教を聞くと7~8割は「無宗教」と答えるそうですが、初詣は、日本最大の宗教行事です。
しかし、日本人は「神社」=八百万の神様を参拝するのか、「寺」=仏を参拝するのかすら、意識することもなく、日本人は初詣に出かけます。さらには、12月にはクリスマスまで祝う。ある意味、宗教に寛大だからこそ、「無宗教」と感じていると言えるのかもしれません。
初詣は江戸時代に始まった文化です。地元の神社へ参拝して、昨一年の感謝を捧げて今年一年の無事を祈願したものが習慣化したものです。
初詣や日本の宗教について、知っていると、神社/寺参りが面白くなります。そこで、人気の初詣先、今年の厄年年齢、宗教と歴史について、まとめて紹介します。
日本人の宗教観
神様、仏様、イエスキリスト様―。
何に対しても救いを求める日本人の宗教観は、一神教であるキリスト教徒やイスラム教徒からみると、まったく理解できない宗教観です。
私は旅行が好きで、旅行に行きと、数日間の間にいくつも神社・寺を回り、お賽銭箱にお賽銭を入れ、お参りをします。海外に行けば、教会を巡り、教会内で神聖な気分に浸ります。これらを一度に巡っても、全く違和感を感じません。むしろ、「信仰」というものが、統一的に人の心を支えていることに、感謝すら覚えます。
この考えの違いが、互いの政治・ビジネスを理解できない理由になることも多々あります。あまりに考え方が違いすぎるため、お互いに腹を割っても分かり合えない部分があるのです。
全国初詣ランキング
「初詣」と聞いてどこの神社仏閣を思い浮かべますか?
例年初詣者数が多いランキングは以下のようになります。コロナの影響でここ数年は初詣も減っていたので、以下は以前のランキングで示しています。
第1位:明治神宮(東京都) 約316万人
第2位:川崎大師 平間寺 (神奈川県) 約302万人
第3位:成田山 新勝寺(千葉県) 約300万人
第4位:浅草寺(東京都) 約283万人
第5位:伏見稲荷大社(京都府) 約270万人
第6位:住吉大社(大阪府) 約250万人
第7位:鶴岡八幡宮(神奈川県) 約236万人
第8位:熱田神宮(愛知県) 約230万人
第9位:氷川神社(埼玉県) 約210万人
第10位:大宰府天満宮(福岡県) 約200万人
もともとは、地元の神社に参拝することから始まった初詣ですが、人気の神社に行く人が多いと言えそうですね。
厄除け・方位除け
あなたは厄除け・厄除けを気にしますか?
厄年とは、数え年で男性は25歳、42歳、61歳、女性は19歳、33歳、37歳をいい、体調を崩したり、災難を受けたりしやすいといわれています。
その年齢の前年を前厄、後年を後厄といい、あわせて3年間は災難を避けるため厄を払う風習が「厄除け」です。中でも男性の42歳、女性の33歳は大厄と呼ばれ、凶事や災難に遭う率が非常に高いので十分な警戒が必要です。
2024年(令和6年)が厄年の男性の生まれ年
前厄 | 本厄 | 後厄 |
---|---|---|
24歳:2001年生まれ | 25歳:2000年生まれ | 26歳:1999年生まれ |
41歳:1984年生まれ | 42歳:1983年生まれ 大厄 | 43歳:1982年生まれ |
60歳:1965年生まれ | 61歳:1964年生まれ | 62歳:1963年生まれ |
2024年(令和6年)が厄年の女性の生まれ年
前厄 | 本厄 | 後厄 |
---|---|---|
18歳:2007年生まれ | 19歳:2006年生まれ | 20歳:2005年生まれ |
32歳:1993年生まれ | 33歳:1992年生まれ 大厄 | 34歳:1991年生まれ |
60歳:1965年生まれ | 61歳:1964年生まれ | 62歳:1963年生まれ |
私は、過去に人生の運気の底辺だ…と思う年回りが、ちょうど厄年に当たった経験があります。その年は、初詣で厄払いをしませんでしたが、運が悪いと感じっとった後、女性の厄除けや願いを聞いてくれるお寺として、古くから親しまれている「西新井大師」に行き、護摩焚きをしました。
厄年や運気などは単なる思い過ごしかもしれません。しかし、実際に厄除けをすることで、気持ちも幾分ラクになります。お薬のプラシーボ効果同様、「厄払い」で気持ちが好転すれば、それだけでもやる意味があると考えています。
初詣に関するよくある質問
初詣にはいろいろ疑問がありますよね。よくある質問とその答えをまとめてみました。
複数個所に初詣にいってもよいの?
問題はありません。OK。ただし、近い神社に先に参拝するのがいいそうです。
お賽銭はいくらがよい?
お賽銭は値段で良し悪しは決まりません。あくまでお気持ちの問題です。
ただ、お賽銭に「5円」を選ぶ方は多いですよね。
よく知られることですが、5円は「ご縁」に通ずるため、よいお賽銭とされています。一方、「10円」は「遠縁」に通ずるため、あまりよくないとする説もあります。
お賽銭は投げるのが正しい?
お賽銭は、神様への奉納ですから、お賽銭を投げるのはよくありません。静かにそっと入れるのが正しいマナーです。
正しいお参りの仕方は?
一般的には「ニ礼二拍手一礼」が基本です。ニ礼二拍手したところで最後のお辞儀をする前に手を合わせてお願い事をしましょう。実はこの形式になってあまり歴史はありません。変遷はありつつ、戦後の「神社祭式・行事作法」の制定の改定に、ほぼ現在の形式のお参りの仕方が記されました。
実は、2021年の年末年始は岡山・島根を巡る旅に出かけ、「出雲大社」に出かけました。
そこで知ったのは、出雲大社のお参りの仕方は、一般的な神社と異なり「二礼四拍手一礼」であるということです。
❶二度拝礼して ❷四回柏手を打ち ❸最後にもう一度拝礼という形式です。境内には、様々な神様を祭る「社」がありますが、それら全ての社も同様のお参りの仕方をします。
出雲大社:オオクニヌシノカミとスサノオノミコトを祀る
出雲大社は、「だいこくさま」でおなじみの大国主神(オオクニヌシノカミ)とその父神と、須佐之男命(スサノオノミコト)をお祀りしています。
ちなみに古事記では、あまりの悪行を見かねて、アマテラスが統治する「高天の原(たかまがはら)」から追放されたスサノオが降り立ったのが「芦原の中津国 出雲」。出雲に降り立ったスサノオは、八岐大蛇を退治してクシナダヒメを娶るなどして、徐々に立派に成長していきます。
そして、時は流れ、オオアナムジが因幡の白兎を助けたことにより運命が開け、スサノオの娘と結婚し、オオクニヌシと名を改めて、国を作って日本の前進ができていく…とつながっていきます。
スサノオが祀られている素鵞の社
出雲大社の中で最もパワーがあるといわれる
オオクニヌシと日本海の荒波に現れた「幸魂奇魂」
(さきみたまくしみたま)の像
縁結びの神となった所以となった出来事
お参り時にあれこれお願いしてもいいのか?
お参り時に、あれこれお願いしてもいいのか?とすることは悪いことではありません。日本の神社は非常におおらかな信仰で、厳格なルールはあまりないようです。
漠然と幸せになりたいと願うより、具体的にどのようになりたいか明確にお願いした方がよいです。
名前・住所・生年月日を思い浮かべてからお祈りをすると、神様が個人を特定してよいといった説もあります。
おみくじは何度もひき直してもよい?
何回ひいてもかまいません。
凶が出て、テンションが下がるよりも、良いおみくじを引いて帰った方が、心理面が明るくなるので、良いことに出会いやすいともいわれます。
ひいた後のおみくじはどうする?
ひいたあとのおみくじはどうするのが正しいのか?おみくじ結果が良かった時と悪かった時で異なります。
大吉が出たとき:持って帰り、お財布などに入れておく
凶が出たとき :神社の木などに縛って帰る
成功している人ほど、神社に行く
実は、古より、天下人や有名な経営者などの成功者は神社に熱心に参拝してきました。事実、歴史上で有目な人も、寺に寄進したり、仏閣を建てたり、自ら出家したりした人が多いですよね。
この傾向は現代でも当てあまり、以下の書籍によると年収1000万円以上の層がより多く神社に通っている人が多いそうです
神社に参拝することで、なんとなくありがたい気持ちになったりしませんか?
初詣など、人がごった返す中での参拝では感じにくいかもしれませんが、シーズンを外して神社に行くと、敷地に足を踏み入れ参道を歩いていると、気持ちが静まり穏やかになったり、凛とした気持ちになっていくのを感じられ、先祖に感謝したくなるような気持ちが湧き出てきます。
自然と社会への愛が生まれ、社会に貢献しようと言う意欲が高まる場所が神社なのです。
利他的であることは、成功するために非常に大切なことです。
上記紹介の本には、金運にいい神社やお参りの仕方など紹介されていて、旅で神社仏閣をめぐる旅行ガイドとしても参考になります。
歴史を学ぶと楽しくなる「神社仏閣巡り」
私はまだまだ歴史の初心者で語るほどでもありませんが、歴史上、神社・寺は、どう扱われてきたのかを学ぶと「初詣」をはじめとする「神社・仏閣巡り」が断然たのしくなります。
理由は、もともと、日本人にはいにしえより、神々を祭ってきましたが、「宗教」が時の権力者によって利用されてきた歴史があるからです。
もともとの日本の新興は自然崇拝
そもそも日本にあったのは、自然崇拝。いにしえより、日本人は地震・津波・風水害に翻弄され、災害に見舞われるたびに、「神よ、なぜ、これほど過酷な試練を私たちにお与えになるのだ」と恐れる一方、彼らを怒らせないよう、敬い崇拝してきました。
しかし、その後、中国から仏教が伝来。その後、日本土着の神祇信仰(神道)と仏教信仰(日本の仏教)が融合し一つの信仰体系として再構成された「神仏習合」を基本としつつも、時の権力者がどちらを重視するかで、神道と仏教のパワーバランスが変化してきました。
戦後のGHQによる米国の対日宗教政策が、日本を無宗教国にした!?
そして、最も直近で日本人の宗教観に変化を与えたのが、戦後のGHQによる米国の対日宗教政策なのではないでしょうか。
「天皇万歳!」で人間爆弾となって特攻まで行わせてしまった日本の戦時下の「日本は神の国であるがゆえ、どんな戦争にも勝てる」という思想統制を破壊するために、現人神(あらひとかみ)とされてきた天皇に人間宣言をさせ、天皇を「神」ではなく「日本の象徴」とする国家神道廃止が行われました。
しかし、戦後を知らない世代の人たちは、戦時・戦争後の政治・宗教・歴史を正しく教わることもなく育ってしまったため、「宗教?なにそれ」となってしまったわけです。
学校で教えるにはナイーブな戦後史と宗教
日本の戦後史と宗教、令和になった、今でも、学校で教えるにはナイーブすぎるのでしょうね…
しかし、政治と宗教と経済は、ものすごく密接に結びついているのです。それは、今なお起こる戦争を見たってわかります。
このような「政治と宗教と経済」は、以下の本を読むと、全く学校では教えてくれなかったけれどとても重要なことが見えてきて、面白いです。
日本をもっと知ろう!「古事記」は超面白い
日本の神々の成り立ちを知るには、「古事記」と「日本書紀」知ると、断然、日本の神社・仏閣巡りが楽しくなります。
「古事記」はギャク?と思えるほど面白い。キリスト教も旧約聖書では「神が6日間で世界と動植物と人間を創造した」と書かれたトンデモ本(笑)ですが、古事記はそれ以上にトンデモ本。天照大神の弟スサノオを代表に、とんでもなくキャラ立ちした神々が登場します。突っ込みどころ、満載で楽しみながら、神々が日本をどう創生したのかが学べて面白いですよ。
最後に
今回は、ちょっと知っていると初詣や日頃の参拝が棚惜しくなることを紹介しました。
手を合わせて、今年の抱負を神に伝える行為って悪くないと思うんですよね。年間いくつも神社仏閣を回ると、その旅に、自分の目標を心に刻むことにもつながります!
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