ふるさと納税の寄付額は40%UPの5127億円。流出自治体ダントツは横浜市。名古屋市、大阪市と続く~総務省 ふるさと納税レポート

8月2日、総務省が「2018年度のふるさと納税に関する現状調査結果」を発表しました。

受け入れ額の自治体別トップは、今年も5月の大盤振る舞い返礼品で世の中をざわつかせた大阪府泉佐野市で総額約498億円。2位の静岡県小山町の2倍の寄付金を集め、泉佐野市1自治体だけで全体の約1割を占めるふるさと寄付を集めたことになります。

さて、今回発表された総務省の「ふるさと納税に関する現状調査結果」には、ふるさと納税利用者の動向がわかる興味深い内容がまとめられています。

そこで、Chami(@poststand)なりの視点で、興味深く感じた点をまとめました。

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ふるさと納税の受入額および受入件数

全国受入額

ふるさと納税の受入額および受入件数

ふるさと納税の受入額(全国計)は、総額約5127億円(前年度比約1.4倍)、受け入れ件数は2322万件(同約1.34倍)と増加しました。

税金が安くなるわけではありませんが、実質的に税金を安くする効果が期待できること、お米やお肉・お魚などの特産品が楽しめる「得する制度」という認知度がアップしていることが分かります。

ふるさと納税ワンストップ特例制度の利用は22%にとどまる

個人的に意外だったのは、ふるさと納税ワンストップ特例制度の利用実績が、金額ベースで22%、受入件数ベースで25%とあまり多くないこと。

ワンストップ特例制度利用対象者は、確定申告をする必要のない年収2,000万円未満の給与所得者ですが、天引きで税金徴収されるために税金について疎く、ふるさと納税をしていないのか、それとも、ふるさと納税をしている人は、相対的に金融リテラシーが高いと思われる年収2,000万円のサラリーマンや自営業者なのか、それとも、サラリーマンの方も節税に熱心で確定申告をしているのか、果たしてどういう理由によるものなのか、興味があるところです。

都道府県別&自治体別受入額ランキング

都道府県別受入額&受け入れ件数
ふるさと納税の受入額および受入件数

都道府県別のふるさと納税の受入額を見ると、県によって大きな差があることが分かります。受入額No.1は大阪府。このうち、約500億円は泉佐野市です。明らかに、下図のふるさと納税受入額ランキング上位の自治体を持つ県の受入額が多くなっていることが分かりますね。

自治体別受入額ランキング
ふるさと納税 自治体別受入額ランキング

受入額全国計と比較すると、大阪府泉佐野市だけでふるさと納税の10%の寄付金を集めていることがわかります。さすがにこれでは、ふるさと納税の本来の目的が果たせるわけもありません。

結果、過度な返礼品で寄付を集める自治体が続出しているとして問題視され、2019年6月からの新制度では返礼品を「調達額が寄付金の3割以下の地場産品」に限定するなど返礼品ルールが厳格化。また、過度な寄附金を集めた4自治体はふるさと納税の対象自治体から外されることになりました。

ふるさと納税の募集に要した経費

ふるさと納税の募集に要した経費

ふるさと納税にかかった経費は受入額の55%。返礼品の調達費、決済、広告など、かなりの費用が掛かっており、自治体には45%しか残らないことになります。
昨年の場合、結局、最も儲かったのは、Amazonギフト券の発行元であるAmazonだったのでは?と思わされます。

ふるさと納税に係る住民税控除額等の推移

全国

ふるさと納税に係る住民税控除額等の推移(全国)

ふるさと納税による住民税の控除額の全国計は約3265億円(前年比1.33倍)、控除額対象者は約395万人(前年比1.34倍)と増加しました。この控除額の伸びは、単純に喜べる数字ではありません。自治体によっては深刻な問題になります。(後述)

令和元年、住民税控除の状況

都道府県別、住民税控除額
令和元年、住民税控除の状況

ふるさと納税は好きな自治体に寄付をすることで、住んでいる自治体から翌年度に住民税の控除を受けられます。つまり、控除が多い県は、それだけ自治体の税収が減るということと同意です。東京都を筆頭に関東では神奈川県、埼玉県、千葉県、その他のエリアでは愛知県、大阪府、兵庫県の住民税控除が多く、税収が減っていることが分かります。

住民税控除額が大きい自治体=税金流出が進む自治体
住民税控除額が大きい自治体=税金流出が進む自治体

住民税控除額が大きい自治体はNo.1は横浜市。金額は約137億円にも上っています。次いで名古屋市(約81億円)、大阪市(約74億円)、川崎市(約57億円)、東京都世田谷区(約53億円)と、住民税が他自治体に流出する自治体は大都市圏に集中しています。

ふるさと納税においては、税収の減収分の75%は地方交付税で補てんされることになっていますが、東京23区や川崎市など不交付自治体。補填されることなくそのまま歳入減となってしまいます。

大都市圏においては、ここの家計のことを考えるならふるさと納税をすべきですが、ふるさと納税の利用が進めば進むほど、税収が減るという、まさに「合成の誤謬」。私も都内23区の住人で、行政サービスの低下につながらないか心配になります。

生活防衛にふるさと納税

8月1日より複数の食品・日用品が値上げ。さらには、10月からは消費税増税と、家計にとっては打撃が続きます。
所得が一定額以上あれば、必ず払わなければならない住民税。生活防衛のため、食費削減のために、ふるさと納税を活用しましょう。

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ブログ管理人:Chami(チャミ)
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