【書評】0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書(落合 陽一 著)(★4)
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人生100年時代

2016年10月に発刊され、全世界で読れ、要約解説本まで出るに至っているリンダ グラットンさん、アンドリュー スコットさんの「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」が発刊以降、よく耳にするようになった言葉ですね。

本書「0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書」は、メディアアーティストとしてだけでなく、経営者、さらには筑波大学准教授という教育者としての顔をもつ落合陽一さんが、これからの人生100年時代に対して、学び続ける人をどうやって育てるかを提案する一冊。

「今のような学校教育はいらない」としながら、特に、現在のデジタルネイチャー時代の幼児期の教育方法や、これからの時代の教育について詳しく書かれているため、小さいお子さんをお持ちの方が読むのに最適です。

これからの時代を生きる子どもをどう育てるのか?子どもの教育に戸惑っている親御さんに自信をもってお勧めできる良書です。

もちろん、タイトルに「0才から100才まで」とあるように、学生、社会人、生涯教育など、あらゆる世代に対し、学び方を提案しています。

人生100年時代の「新しい学び方」

現代、小さなお子さんをお持ちの親御さんは、デジタルネーチャー時代の子供のに対し、どのような育て方をすれば子供が幸せになれるのか?と、常に頭を悩まされていることでしょう。

落合さんは、今の学校教育には否定的。今の時代に適した「新しい学び方」、そして、教える側の保護者や先生には「新しい学び方」を伝えるための心構えが必要だと提案します。

学ぶために必要なのは、こて手先の「戦術」ではなく、基本となる「戦略」。そして、タダ覚えるだけの学習ではなく、「柔軟な思考訓練」が必要です。

その学びに対する教えには、「勉強しなさい!」と声を張り上げなくても、自ら勝手に好きなことを学んでくれるような子供を育てるヒントが詰まっています。

落合さん自身が親にどのように育てられ、結果、どのように育ったかもあなたに気づきを与えてくれることでしょう。

落合さんの本は、あまり読書をされない方にはやや難解な本が多いですが、本書はわかりやすく説明されているので、万人向けにオススメです。

STEAM(スティーム):STEMにアート(Arts)を追加した教育

本書では、STEAM(スティーム)という教育方針が紹介されています。

STEAM(スティーム)とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)のそれぞれの単語の頭文字をとって名付けられた教育プログラム。科学、技術、工学、数学に芸術を付け加えて作られた教育方針です。元々は2013年にオバマ大統領がアメリカの国家戦略として掲げたことで話題になりました。

ここで不思議なのは、テクノロジー重要視の時代で科学、技術、工学、数学の理工系人材の教育が重視されるのはすんなり理解できますが、そこになぜ「アート」が追加されているかです。

アートが必要な理由

科学、技術、工学、数学は論理的な学問です。このようなロジック化が可能な学問やそれを活かしたプロダクツはAIやロボットで代替が可能。これから、作業的には大変でもロジックで置き換えられる仕事はどんどんAIにより置き換えが進んでいきます。

このような時代に必要なのは、「発想力」や「想像力」

これらと論理的な部分が相互に結びついて、新しいものが生まれてくる。だからこそ、アートのような自由な発想が必要なのです。

アートをどう学ぶか?

では、アートな発想力・想像力はどのように学べばよいでしょうか?

落合さんは以下のように提案しています。

僕は学生にアートを鑑賞する時は、まず最初に、とにかくまっさらな心で見ることを指導しています。そこで得られた印象や感覚を 「これはなんだろう?」「これはこういうことかな?」と言語化して解釈します。

この時に大事なのは、自分の中に、自分なりのコンテクストを持つことです。鑑賞したアートを、自分の中の文脈と照らし合わせて考えて、論理的に言語化することと、五感を使って感じたことをバランスよくすることが大切です。

日本の教育は「詰め込み教育」。受験教育がメインで、「覚えること」「正解すること」が重視されます。しかし、アートには正解も不正解もありません。

今後の教育に必要なのは、「何を覚えるか」ではなく「どう学ぶか」。

社会に出てしまうと、事前に正解のある問題などありません。自ら課題を発見し、その課題に実践的に取り込み、学び続けるためには、「どう学ぶか」に注目すべきです。

まとめ

時代がめまぐるしく移り変わっていく現代、教育のスタイルも時流に合ったスタイルへ変更していかなければならないのはごく自然なこと。
これからのAI時代においては、論理的な思考と共に自由な発想力・創造力が必要です。そのためには、前後関係を読み取ったり、状況・環境に依存してどんな意味があるのかを感じ取っていく学びが必要です。

なんとなく状況を見て、「わかった」と簡単に片づけてしまわないように意識したいです。

なお、本書は、子育て世代の幼児教育論が中心です。20~30代、40~50代をどう過ごすか、どう学ぶかについて深い洞察を得たかったら、たまたま最近読んだ本ですが、「劣化するオッサン社会の処方箋~なぜ一流は三流に牛耳られるのか」(山口周 著)が参考になります。

劣化する社会をつくるオッサンにならないために、若いうちにどうすべきか、年代的にはオッサン世代になっても、どう学ぶべきか、参考になる提言が満載です。

当記事で紹介した本
0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書
劣化するオッサン社会の処方箋~なぜ一流は三流に牛耳られるのか
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)