わかりやすい説明で定評のある池上彰さん。

本書は、日本経済新聞に連載されている「池上彰の大岡山通信 若者たちへ」をまとめた書籍の第3弾です。以下の目次の通り、米国、世界、日本を切り口に、ニュースを賑わす話題を取り上げています。池上さんが、話題のニュースをどのような切り口で見つめ、世界の向かう先を見ているのかがわかる一冊です。

・第1部 「米国編」アメリカ・ファーストの衝撃
・第2部 「世界編」〝まさか〟が起こる世界
・第3部 「日本編」この国のあしたを考える
・第4部 「大学編」君たちが生きるヒント

2016年にまとめられた記事が多いため、アメリカ大統領トランプ氏の話題が多くなっています。

「絶対にありえない」はない、は歴史が教えてくれる

EUからの離脱を指示した英国国民投票、米トランプ大統領の就任・・・等
池上さんは、ジャーナリストとして2016年ほど「絶対にありえない」とい言葉が通用しない経験はなかったと述べています。

では、これからどんな世界が訪れるのか?

簡単に予測することはできませんが、世界史を振り返ると、かつて同じような動きがあったことに気づかされるとおっしゃいます。

かつての大国も、自国の利益を優先し、保護主義や一国主義だったのです。
1929年、NYの株価大暴落では、世界は「自分の国さえよければ」と保護主義に走り、世界経済は深刻な不況に陥りましたし、それがやがて第二次世界大戦へとつながっていきました。
その反省から、国際連合やEUといった国際的な仕組みが整ったのですが、ここに来て、再び大きな岐路に立たされています。

「歴史は繰り返す」という言葉がありますが、歴史に残る戦争や紛争を引き起こすのは人間であり、時代は変わっても人間の本質は変わっていないことを理解しましょう。

現代の大学生にとって9.11は「歴史」でしかない

池上さんは東京工業大学の特命教授として講義を受け持っていらっしゃいますが、彼らから、様々な気づきを与えられるとおっしゃいます。

例えば、「9.11」。30代以上の方なら、テレビに映る旅客機がビルに激突する映像は現実なのか?と、衝撃的な映像に心を病んだと思います。
しかし、いまの大学生は当時、幼稚園から小学校低学年。彼らにとっては、9.11は「歴史」。もっと上の世代が彼らの価値観でニュースを語っても、彼らにはピンとこないのです。

視点・体験の違いを意識して物事を語らなければ、結果、伝えたいことは伝わりません。

池上さんはメディアは上記のことを意識してニュースを発信しなければならないと述べていますが、これはメディアに限ったことではなく、我々の日常生活でのコミュニケーションでも起こっていることです。

わかりやすく伝えるとは、このような相手との知識・体験の違いも認識した上で伝えなければならないのだなぁと、改めて考えさせられました。

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