今、世界を覆い尽くす格差。
富める者はより富み、貧しいものはさらに貧しさへと突き落とされる理不尽な社会です。

貧困問題に取り組む国際的なNGO団体オックスファムの発表によると、大富豪8人の富=世界36億人の富なのだとか。たった8人の資産が世界人口の半分に当たる下位36億7500万人の資産とほぼ同じとは、世界が歪んでいるとしか言いようがありません。

一方、本書発刊時(2017年)の最新データで、日本においては、一世帯たりの所得の平均541万円に対し、中央値は427万円であり、富める者が平均値を上げる=貧しい者はより貧しいという現実と合致します。中央値の半分約214万円を下回る世帯は相対的貧困層と呼ばれ、非正規雇用やシングルマザーなどが多く属しています。

本書「世界から格差がなくならない本当の理由」では、このような、格差問題に対し、なぜ「拡大」し続けるのか?そして、富める人達とはどんな人なのかを明らかにした一冊です。いま何が起きているのかを池上さんならではのわかりやすい解説で明らかにしています。

なぜ、格差は拡大するのか?

なぜ、格差は拡大するのか?

この問題を、非常にシンプルな数式で表したのが著書「21世紀の資本論」で有名になった、フランスの経済学者 トマ・ピケティです。

彼は、格差を以下の式を用いて説明しています。

r > g

r=return on capital:資本収益率
株や不動産などの運用で得られるお金の割合
年平均4~5%
g=economic growth rate:経済成長率
働くことで得られるお金の増加率
年平均1~2%

つまり、お金持ちが株や不動産を運用すると年平均4~5%の財産が増え続けるのに、多くの人が一生懸命働いて得られるお金は年1~2%しか増えない。こうして格差が広がってしまうというわけです。

世界のトップビリオネアとは?

上述の通り、「大富豪8人の富=世界36億人の富」という衝撃的な事実がありますが、具体的にどのような人が最上位のビリオネアなのでしょうか。

日々のビリオネアの資産ランキングを示しているのが、Bloomberg Billionaires Indexで、世界の上位500位までの資産が日々ランキング更新されています。

2017年6月3日現在

その結果ですが、1位はビルゲイツ氏
彼の資産はマイクロソフト株の利益をベースに以下のように猛烈な勢いで膨らんでいます。

2017年6月3日現在

お金に働いてもらう仕組みを持つ人でなければ、資産は増えないことを思い知らされます。

安売り競争が格差を引き起こす。子供の貧困も大問題化

では、格差の引き起こす原因には具体的にはどのようなことがあるのでしょうか。その一つが安売り競争です。

安いものを求める消費者に応えるために、企業が賃金をはじめとするコストをカットする。結果、ますます賃金が安くなるという現象を引き起こしてしまうのです。

このような中、現在は、子供の貧困が大問題に。給食のない夏休みに、ご飯が食べれず痩せてしまう子も出るほど、貧困に悩む世帯は増えています。しかも、昔のように見た目だけでは貧困世帯かどうかが判断つきづらく、貧困世帯を特定しにくいという現実もあります。

日本は老人に多額のお金が費やされる一方、世界的にみても子供に対する保障の割合が低い現状があります。そのため、「日本が教育にお金を使っていないという批判を受け、昨今では、自民党と公明党が所得が少ない世帯の大学生に対して返す必要がない給付型奨学金の2017年から拡張しようという方針を示すなどの動きも出てきています。

資本主義を生きるなら、ピケティの法則は学習しておくべし

資本主義で最下層にならないためには、「資本論」や「トマピケティ」本は読んでおいた方がいいです。
わかりやすくエッセンスをまとめた本を紹介してきます。
いずれも、kindleUnlimited対象本です。

現在、トランプ氏率いる米国、Brexitを掲げる英国、ルペン氏を指示した国民が多かったフランスなど、保護主義が蔓延するしています。なんとも生きにくい現在の世界では、格差の縮小は難しそうですね。