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政治記者とは、ここまで政権に肉薄し、日本の行く末を決める大事な局面(駆け引き)で繰り広げられる人間ドラマに立ち会えるものだろうか・・・と驚く衝撃の一冊。

第一次安倍政権、首相辞任の舞台裏
盟友 中川昭一氏の死
東北大震災発生時
再出馬の決意
麻生太郎氏との消費税をめぐる攻防
日銀、財務省の駆け引き
オバマとの駆け引き 安倍外交   等

至近距離から重要局面を目撃した著者が、安倍晋三 現内閣総理大臣、および、安倍政権のキーマンたちの発言と行動をつまびらかにしています。
通常知ることのできない要人たちの、重要局面における息遣いまで聞こえてくるような内容は、ビジネス小説よりもドラマティックです。

冒頭でも記載しましたが、これほどまで、時の政権に至近距離に近づき、その表舞台に出てこない要人らの駆け引きを目撃している政治記者がいるとは驚きです。

そんな著者の山口さんは、元TBSの政治記者。戦場記者などを経て、2000年に政治記者となった直後から見てきた安倍晋三と彼を取り巻く人間模様、日本政治の中枢にいる人物の人となりを、本書では赤裸々にレポートされています。

しかし、山口さんは、他の記者ではレポートできないスクープを誰よりも早く報じ、社内などで表彰される一方、社内では「政治家との距離が近すぎる」と陰で批判し続けられたと言います。

「取材対象に食い込め!」といわれるのに、いざ食い込んでみると「近すぎる」と批判されるとは納得いかない。

そんなジャーナリストとしての思いを、以下のように記しています。

「ある地域で国際紛争が起きたとき、命を賭して最前線に飛び込みその真相を肉薄しようとするジャーナリストがいるからこそ、国際社会は紛争が発生した事実や、紛争地域で何が起きているかを知ることができる。
これは政治取材も変わらない。政治はその最も重要な局面において、主役である政治家の個性や信念が事態の展開を左右し、それが国民生活および社会の成り立ちに影響を与える。であるなら、その究極の人間ドラマに登場する人物に迫ることこそが、政治の実相を知るために必要欠くべからざる作業となる。政治家に肉薄した記者が、政権中枢における目撃と体験を公開することで、初めて政治のリアリティが国民に伝わる。

山口さんの記者魂を、本書を通じて感じて頂きたいです。

また、最終章では、前章まででつまびらかにされた「安倍晋三という人物」、「安倍政権の運営」を元に、以下の2つの点について、著者の考えがまとめらえています。
「宰相にはどのような人物がふさわしいか」
「ポスト安倍には誰を選ぶべきか」

著者は、「世界観を固持している者でないと、この先、日本を背負う総理にはなれない」と言います。
これ前に日本の総理は、国会議員としてのキャリアハイのようなところがありました。しかし、「安倍晋三には、一定の世界観があり、世界観を達成するために、やりたいことがある。だから、不人気な案件にも決然と挑戦できる。」と分析しています。

あれこれ言われながらも、安倍首相がこれまで一定の支持を得て、比較的安定し続いているのも、この辺に理由があるのでしょう。

今年も多読をしておりますが、原点で今年最も面白いと思った良書です!オススメです。

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