宗教 ~ 日本人の場合、普段、あまり意識することはなくとも、「神道」や「仏教」が日常生活の中に溶け込んでいますよね。
著者の島田さん曰く、宗教の存在しない社会はなかったといいます。人類は、相当に古い時代から宗教と付き合ってきており、宗教の存在しない国や民族というものは、これまで発見されていないそうです。

でも、昨今、日本のみならず、世界の宗教に異変が起きているといいます。日本でもかつて隆盛を誇った新興宗教が、入信者を減らし、衰退の一途をたどっており、ここ20年ほどで信者数が半減した新興宗教団体も出てきています。

日本の新興宗教の衰退は、何が原因なのか、何をを意味するのか――。
その原因は「資本主義」。「宗教」と「資本主義」がどのような関係があるのか?本書では、日本のみならず世界の宗教にも目を向けながら、ポスト資本主義の社会を「宗教」から読み解いています。

目次
1章:誰も神を信じない世界
2章:資本主義が宗教を殺す
3章:宗教が世俗化する国・日本
4章:日本の共同体=宗教とはなんだったか
5章:資本主義は、宗教と心中する

宗教が衰退し、無宗教化の方向へ

ヨーロッパや日本などの先進国で起こる宗教の急速な衰退現象。この衰退は、伝統的な既成宗教、新宗教でも同様に発生しています。つまり、先進国の社会は、世俗化、無宗教化の方向に向かっているのです。

なぜ、資本主義が経済を破壊する?

「信仰」は個人単位でもできるものです。しかし、宗教・信仰は団体、つまり、家族・一族・団体という共同体を形成し、その信仰は継承されていきます。しかし、この共同体を資本主義が破壊していると述べます。それはなぜでしょうか?

資本主義は「つながり」を破壊する

日本において新興宗教が信者数を伸ばした時期は、高度経済成長期です。かつて、田舎から都会に出てきた若者は、見知らぬ地でつながり・助け合い・安心を求め、新興宗教に入信しました。しかし、資本主義は、蓄財さえあれば人とつながり合ったり、支え合ったりせずとも、一人でも生きていけるよう、我々の生活を変えてしましました。この傾向は、共同体の最小単位ともいえる家族にまで及んでいます。

一般的に、宗教団体は入信時に入信料、また、継続的にお布施を信者に求めます。しかし、「お金など払わずとも、共同体に属さなくても生きていける」となれば、宗教を離れる人が増えてもおかしくありません。

資本主義は行き着くところまで行き着いた?

著者は、抜粋すると以下のような結論を述べています。

「資本主義は行き着くところまで行き着いた。伝統的な社会システムは解体され、個人が共同体とは無縁な生活を送る状況が生まれている。」

「資本主義はそこまで貪欲に資本の蓄積を行ってきたとも言える。ロボットが労働を担い、社会のあらゆる側面が自動化された時代において、人間という存在は本当に必要なものなのだろうか。人間を必要としない社会のなかには、人が生きる余地などないのだ。」

「そうなれば、人類社会の存立も難しくなる。高度資本主義こそが、人類社会にとっての脅威なのかもしれない。宗教が消滅する世界は、あるいは人類が消滅する世界なのかもしれないのである。」

読了した感想としては、著者の最終結論は極論過ぎるといった印象を受けます。「宗教消滅」というタイトルも、インパクトはあるものの言い過ぎで、「宗教が資本主義により、勢力を失っている(崩壊中)」といった程度が正しいのではないでしょうか。ただ、資本主義が宗教のあり方をどのように変えているのかという考察は、現代社会で進行する傾向を理解する上で参考になりました。