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80歳を超え、現役として老いを謳歌しているという元東北楽天ゴールデンイーグルス名誉監督野村克也さん。

総じて元気な老人が増え、老いても第一線で活躍する人も増加する一方、長い老齢期をどう生きていいかわからずに戸惑い、暗く落ち込んでいる人も多い。

・老いてしまったことを嘆き、過ぎ去った日を悔やむ。
・これといってやることもなく、希望も目標もない。
・自分の人生に意味を与えることもできない。

そういう人はおそらく生きているという実感も希薄ではないだろうかと、野村さんは憂います。

老いていかに生きるか。

本書では、野村さん自身の経験をもとに、老年期を迎えた人、これから老年期に向かう人たちに、著者の考え方を披露。人生の総仕上げの時期として、積極的に前向きに生きることを提唱しています。

リタイアしても「生きる目的を持ち、成長し続けることが大事」です。リタイア世代だけでなく、40・50代でも自分の生き方を考えさせられる良書です。

素敵な老人に感じてもらうためための必須条件は「清潔感」

老人には、疾病、貧困、孤独、無用というマイナスイメージがつきまといます。上記以外にもう一つ忘れてはいけないのが、不潔というイメージです。
野村さんは、その理由を、老人になると、周囲への無関心が己の身だしなみに対する意識を低下させているのではないかと分析します。そして、だからこそ、おしゃれが大事だといいます。

但し、おしゃれといって無理して身を飾ることが大事だと言っている訳ではありません。「清潔感」を持つこと、それが大事だと述べます。

遅すぎることはない。何歳でも人は学ぶことができる

老人は様々なことに対して「歳をとったから・・・」と、何かをする前から諦めがちです。しかし、野村さんは、知力に限っては「歳をとったから・・・」という表現は当てはまらないと述べます。

その気があれば、人は何かを学ぶことができます。学ぶことによって、脳は変わるのです。
年長者は若者より問題を多角的に眺め、自分の経験から解決策を探り出すことができます。創造力な年齢と関係のない能力です。「目が利く」のは老いの特権です。

生きている限り成長や発展は一方通行で続く

「知りたい」という欲求がなければ道を究めることはできません。人を他の動物と隔てている最大の要因は、「知りたい」という欲求です。この欲求があったからこそ、人類は進歩や発展を遂げることができたのです。

知りたい気持ちは自己成長を促します。自分を成長させようという気持ちに、年齢は関係ないのです。

敵は我にあり。自分に勝てるかどうかで人間としての器が試される

老いても、目的をもち生きることが大事です。このとき、阻害要因となるのが「諦めの心」。「もうダメだ」とあきらめてしまうことです。そんな時こそ、「まだダメだ」と考えるようにすることが大事です。

リタイアしたからといって、社会とつながりを切ってはいけません。他者や社会との接触を絶やさず、たえず働きかける。そこからの刺激を受け入れ、自分を作ることが大切です。野村さんは、「働き続けること。それが私にとっての養生である」と述べます。仕事は、体・頭・神経を使う行為です。これが健康の秘訣です。

進化とは変化。変わる勇気を持とう

現状に満足せず、さらなる高みを目指して眺めれば、何歳になろうと進化することができます。人は人生を重ねたから老いるのではありません。理想をなくした時に老いるのです。

人間的な成長を促すものは「意識」です。意識が変われば運命が変わる。運命が変われば人生が変わります。

心が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。
人格が変われば、運命が変わる。
運命が変われば、人生が変わる。

「運」と「運命」とは別物

「運」と「運命」は違います。運を強くするための努力によって、自らの運命を切り開くことができるのです。
努力によって運の強さは変わります。そして、運の強さによって、運命は変わります。自分で切り開いていけるのです。

人間にとって最大の悪は「鈍感」

監督として多くの選手を指導してきた野村さんですが、一流になる人と二流で終わる選手の違いは、持って生まれた才能よりも、感性の違いだと確信すると述べます。

感じる力のある選手は伸び、鈍感な選手は低迷する。

その感性は、ほんの些細なことにも無関心でいられず、なぜそうなるかを自分なりに考えることによって磨かれるのです。

鈍感は無関心から生まれる

特に歳をとると物事だけでなく、自分自身に対しても「無関心」になり、それ故、「鈍感」になりがちです。だからこそ、感性を高める必要があるのです。

ケチな人間は人生の機微を理解できない

ケチとは自己中心な人間のなせる業です。他者に対する感謝の気持ちも希薄です。

感謝の気持ちがなければ、せっかくの出会いや縁を無駄にします。人間関係の基礎は「自分は生かされている」という感謝です。感謝する心が感性をはぐくみ、感性が感動する心を生み出します。個人主義であってもいいですが、利己主義であってはいけません。自己中心的な人間は信頼されません。

ポジティブシンキングの実は落とし穴

現代は、「ポジティブ思考」が推奨される一方、「ネガティブ思考」は嫌われます。しかし、野村さんは、キャッチャー・監督として、ネガティブ思考で、その時に起こりうるリスクを常に考えてきたといいます。

リスクについても考えを張り巡らすにはネガティブ思考も必要です。ポジティブ思考は、それはなんでも自分に都合のいいように考える傾向に陥りがちになることを忘れてはいけません。

いかがでしょうか。老いておらずとも、若い人でも賢明に意味ある人生を送るために大切なことが書かれています。平素な言葉で書かれていますが、言葉に説得力があります。

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