本書は、これまで語られることがなかった、外国為替紫綬の本当の姿を描いたものです。こんな本を書く人、書ける人は、これからも出てこないでしょう。なぜながら、外国為替の世界に置いては「タブー」だからです。 

~「まえがき~FXで安定的に稼ぎ続けることは99%無理!」より~

「こんな本を書く人、書ける人は、これからも出てこないでしょう。」「FXで安定的に稼ぎ続けることは、9分9厘不可能です。」「FXは資産運用の場ではない」と言い切れるには、著者である富田さんが、富士銀行、JPモルガン・チェース銀行、モルガン・スタンレー、ステートストリート等、複数の金融機関で為替取引の現場にいた方であるだけでなく、2006年から2007年までの短期間ですが、副社長としてケイマン籍のヘッジファンド経営に関わった経験をお持ちで、為替のプロの世界を熟知されているからです。

FX取引も行っているブログ人chamiには耳の痛い本です。なぜ、FXに近づいてはいけないのか、本書には参考になる記述が多数あります。著者の意見の一部を以下にまとめてみます。

プロと個人投資家では圧倒的な差がある「情報量とスピード」

昨今、PCやスマホなどどこでも情報入手ができるようになった投資情報。巷では、プロと個人投資家の情報格差はほとんどなくなったとも耳にします。

しかし、著者は、プロと個人投資家には、「情報量とスピード」において圧倒的な差があるといいます。要人発言・指標発表等、オンラインで流れるニュースでさえタイムラインがあります。また、そもそもストラテジストの相場予測などあてにはなりません。プロはこのような予想は全くあてにしていません。

プロはストラテジストの情報などあてにしない

本当に取引にとって重要なのは、「実際にどのように為替が取引されているかというディーリングルームでしか分からない「場の雰囲気」=「場味」です。これらは実際の相場を経験した人にしかわかりません。

しかし、今現役で活躍しているストラテジストは、実際にFX市場でリスクを取った経験はありません。ストラテジストの存在は、「顧客サービスのため」もありますが、「会社の宣伝のため」でしかないのです。個人投資家に勝ってもらうためのサービスではありません。

ディールのプロは個人とかかわったりしない「腕一本で稼ぐ勝負師」

相場と”一瞬の勝負”をしているディーラーには、相場見通しを読んでいる時間などありません。彼らに必要なのは”瞬間的に反応する能力”です。他人の相場観に頼る人は、プロではないのです。

金融機関のディーラーには、大きく以下の2種類がいます。
・1銭、2銭の瞬間勝負をしているスポット・ディーラー
・もう少し長めのスタンスでリスクを取りに行くポジション・テイカー

前者は、相場と勝負しているわけではありません。お客さんとの取引の処理を利用して稼ぐことが仕事です。自分からリスクを取りに行くのは得意ではありません。

一方、後者、ポジション・テイカーは、誰の指図も受けず、誰の取引も利用せず、純粋に自分の判断だけで売買して稼ぎます。まさに「おのれの腕一本で稼げる勝負師」です。お客さんとの取引には一切かかわりません。メディアで相場見通しを語ることもなければ、相場予測レポートを書くこともありません。プロが参考にしない相場観など、個人もあてにしない方がいいのです。

プロは誰もテクニカル分析など利用しない

著者は、テクニカル分析という投資法・分析手法は、外国為替紫綬のプロの世界では随分前に絶滅してしまっていると指摘します。そもそも、テクニカル分析は、株式市場の世界でできたもので、それを勝手に持ち出して使ってきても大失敗だったというのです。

そもそも、テクニカル分析は「すべての情報は、価格に反映されている」という思想に基づいています。しかし、あくまで「過去の推移を確認する道具」という程度の認識にとどめるべきです。

「過去の価格変動のパターンとの類似性から、将来起こる動きがわかる」ということを結びつけるには論理に飛躍があります。むしろプロの中には、「テクニカル分析は、できの悪いカスタマー・ディーラーやストラテジストが、お客さん(素人)をケムにまくための道具である」と批判する人さえいます。

著者は自分もいろいろと試したテクニカル分析を必死に勉強した結果、以下のような答えを得たと述べています。

テクニカル分析には「流れに乗ろうというトレンド系」と「逆張りでいこうというオシレーター系」があるが、トレンドに乗るべきなのか、レンジで張るべきなのか、『今どちらを使うべきなのか』というシグナルを出してくれるテクニカル分析は、自分が必死に勉強した中には存在しませんでした。

所詮、プロは他人のカネを運用しているだけで、自腹を切るリスクはない

ヘッジファンド以外の金融機関のトレーダーは、所詮、プロは他人のカネを運用しているだけで、自腹を切るリスクはありません。しかし、「技量の劣る個人投資家」は、「自腹のプレッシャー」というハンディキャップが設けられています。

小さなプレッシャーでも、それは冷静さを保つ阻害要因となり、相場との戦いに大きく影響します。個人投資家は宿命である自腹のプレッシャーを軽く見るべきではありません。個人は所詮他人のお金を扱うプロよりも大きなプレッシャーに晒されていて、あまりにハンディキャップが大きくて、勝負になるはずがないということを忘れてはいけないのです。