先日、アンティークコイン投資の本を一冊を紹介しました。ニッチな投資手法なので、折角なのでもう一冊、アンティークコインの本の紹介です。

本書は、歴史書やコイン関連の著書を複数執筆している加治 将一さんの本です。
2012年に第一版が発刊され、その後、2015年に「最新刊」である本書が出版されています。この2冊、ほとんど内容が被るため、最新刊のみ読めば事足ります。

本書から以下の記事と被らない内容をご紹介します。

日本ではニッチ。愛好家数No.1は米国

日本人には、総額1000万円以上のコインを愛蔵しているコアな投資家は1万人いるかどうか。しかし、世界ではその規模が異なり、収集家は300万人と推定されています。

断トツの一番は米国で愛好家はざっと150万人。2番目がスペインの50万人、英国/ドイツ/フランス/イタリア/ベルギーあたりは10~20万人規模の愛好家が居留守です。

但し、切手の投資家は見せたがりが多いのに対し、アンティークコイン投資家は見せたがりません。
理由は以下の通り。アンティークコインを投資対象としているなら当然でしょう。故、正確な愛好家数は不明です。
・一銭の特にもならない
・セキュリティ上の危険も増す

なぜ、ゴールドよりアンティークコインなのか?

投資と言えば、コインよりゴールドの方が一般的な投資です。しかし、著者曰く、ゴールドは投資として実用的ではないとか。特に富裕層にとってはです。

理由は複数あります。

  • そもそも重くて、隠せません。
  • 2012年1月1日より、「金地金など譲渡の対価の支払調書制度」が始まっており、業者は金を買う客の身分を証明書などで確認し、名前、住所、金額を税務署に申告しなければなりません。
    申告義務は200万円以上なので、秘密裏に所有したい投資家には厄介

数年前より「キャピタルフライト」というキーワードが一般的になりましたが、資産隠しをしたい富裕層にとっては、税・携帯性の観点から、アンティークコインは最適なのです。高額なアンティークコインなら、ポケットに入れて海外に持ち出せますね。

いろいろあるコインの種類

コインといっても大きく4パターンあります。一般的な記念メダルを買っていても投資対象にはなりません。

・記念メダル  :例外があるもののほぼ値上がりしない
・記念コイン  :貯金するくらいならおすすめ(ポイントは発行枚数)
・コイン型金地金:資産保全用としては手堅いが、金相場に連動し、
         製造に打ち止めがないため、希少価値に劣る
・地金型コイン :コレクター向けのアンティーク・コイン

どの国のコインかもコイン選びに重要です。

・チャイナコイン:贋作多し。ただし、中国の経済成長とともに開運コインになる可能性も
・欧州コイン  :従来からの需要ボリュームあり。富裕層の増加で追い風
・米国コイン  :歴史がないため、種類が少ない
・神聖ローマ帝国・オーストリアコイン:他国に比べ抜群の存在感あり
・英国コイン  :大型金貨に魅力
・インド・ブラジルコイン:値上がりに期待

アンティークコイン、購入のコツ

予算が500万円あるなら、5万円のコインを100枚、10万円のコイン50枚買うより、100万円5枚、500万円1枚の方が断然有利です。資金が限られている人の場合は、低額の地金型コインを買い増し、ある段階でそれらを売却した資金で高額コインを取得するのがよいそうです。

また、マーケットのすそ野が狭い分、情報・公平性に隔たりがあると考えられるため、「成功するには良心的かつ知識豊富なよいディーラーと付き合うことが非常に大切」です。よほどお金が余っている人を除き、ゆっくり、じっくり投資しましょう。