スパコンはなぜ重要なのかを明らかに

スーパーコンピュータといえば、日本では「京」が有名ですね。
本書は、スパコンの開発がどのように行われているか、スパコンの利用分野、各国のスパコン開発の取組み、および、今後の日本のスパコン開発に重要なことなどなどをまとめた一冊。平素な言葉で京をはじめとする開発の最前線を明らかにしています。

スパコンとは

スーパーコンピュータとはどのようなパソコンを指すのでしょうか。一般的には「家庭用コンピュータの少なくとも1000倍以上の演算能力をもつコンピュータ」とされています。

スパコンの計算速度ランキングを発表しているのが「TOP500」。毎年が6月と11月に発表されています。
6月:ドイツで開催されるISC(International Supercomputing Conference)
11月:アメリカで開催されるSC(Supercomputing Conference)

ある突出したスパコンが登場すると、早ければその数年後、遅くとも10年後にはそのスパコンと同程度の性能の普及型スパコンが大学や企業などに導入される程、ITの進化は早いです。
なお、2020年までに京の約100倍規模の能力を持つスパコンをつくることが計画されています。暫定的ですが、総事業費は約1400億円(うち国費負担が1100億円)にのぼります。

スパコンの利用分野

現在、スパコンが利用されている分野は大きく分けて3つです。

1.産業分野
 産業における日本の国際競争力を挙げrという役割をになっている。
 例)自動車、航空機の設計、携帯電話の設計等
2.一般市民の毎日の生活を陰で支える、市民生活への利用
 例)天気予報、津波予測、地震に強い建物を作るための免震構造の解析を含めた
   防災・減災
3.科学技術の分野
 例)銀河の形成、ブラックホール、素粒子 
副次的な効果として、スパコン開発によって日本のエレクトロニクス分野の強化につながっています。

各国のスパコン開発に対する姿勢の差

最前線のスパコンは費用が高すぎて、中小企業が利用できる状況にありません。中小企業がクラウドで気軽に使えるようになることが求められます。

米国では、国家戦略として常に最先端のスパコンを開発・利用することが重要だとし、HPC法という法律で、常に最先端のスパコンを開発するということと、主要な機関がそれを使い続けることがうたわれています。アメリカはHPC法の整備が盤石となったことで、質・量ともに世界で群を抜いています。

このような法律や仕組みは、韓国やEUなどにもありますが、日本には蓮舫氏の「2番ではダメなんでしょうか?」の言葉に象徴されるように、スパコン開発や利用の重要性を国益にかなうものとして認識し、法律的に担保しているということがありません。そのため、スパコン開発が話題にあがればその都度議論を掘り返さなければならず、開発の妨げになっています。

開発メーカーからみると、一回限りのスパコン開発で終わってしまうと、うまみがありません。京の開発で培った技術を用いて普及型の商用機を作り、広くビジネスに応用することこそ意味があるのです。そうでないと、開発メーカーは京の開発で収益を上げていくことができず、次のスパコンの開発につながっていきません。

日本でも国益にもなるスパコン開発を推し進める法律の制定が求められます。

スパコンの未来

人間の脳はタンパク質でできており、そのタンパク質の中には様々な原子、分子があって、電気信号がシナプスを経由して神経細胞に入ったとき、その原子や分子がどのような働きをするかというところまで解明できるゆになれば、どういう電気信号が入った時に、どういう反応が起きて、どういう結果ができるかということがわかるようになります。
これがわかれば脳そのものがシミュレーションできてしまうのです。

将来、より賢い人工知能が開発されると、人工知能によってプログラムの生成すらコンピュータが行うようになっていくだろうと著者は予測します。コンピュータ自身が発想し、コンピュータ自身が判断するようになる。こうなると、もはやコンピュータが「意識」を持ったと考えてもいいレベルかもしれません。
このレベルに到達するには、少なくとも100年単位の時間を要するだろうと著者はまとめています。